タフでクールなバースデイ

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オレのファミリーは能天気なヤツばかりだ。 誰かがひとつ年を取るだけで、やたらにハシャぎやがる。 ひとつ死に向かうことの何がめでたいんだか。 不幸なことに、今日はオレの誕生日だ。 ほっとけ。と無視を決め込んでも ケーキだのプレゼントだの押し付けてくる。 チッ。またイチゴのショートケーキかよ。 この年でイチゴなんて柄にもない。 しぶしぶクチにするが、酸っぱくって仕方ねえ。 学ばねぇヤツらだな。あの店のフルーツは安モンだってのに。 プレゼントは服か。ふん。これはありがたくもらっとくよ。 ちょうど今のはキツくなってたところだ。 バクバク食ってたらすぐ腹が出ちまうからな。 続々と食事が運ばれてくる。 オイオイ順番が逆じゃねえか。ケーキを先に食わせるだなんてよ。 おっと肉か。こいつは文句言ってる場合じゃねえな。 サラダなんてのは虫が食ってりゃいいんだよ。 肉汁たっぷりのハンバーグ。ビーフ100%でな。わかってるねぇ。 ステーキってのは当たり外れがあるからいけねぇ。 固い肉は食えたもんじゃねぇからな。 気取って損するよりも、やっぱり王道のハンバーグよ。 ああウメぇ。 ワリィな牛のミンチども。オレの血肉になってもらうぜ。 肉を味わったあとは、冷えた水をグビグビいわす。 こんな時に酒を流し込むヤツはわかってない。 酒が入ると、とたんに酒が主役になる。 食いモンに集中したいときは雑味を排除するのがスジってもんだ。 苦味やら甘味やらは邪魔なだけ。水のミネラルで十分よ。 アツアツでギトギトの油の後にキンキンの冷たい水。 いいねぇ。腹ン中でシェイクされるぜ。 消化に悪そうなこの背徳感よ。たまんないね。 また腹が成長しちまうなぁ。 グルグルとイキのいい音も聞こえてくる。 「・・・あれ?なんか匂わない?」 その声が聞こえたと同時に、ケツが生温かくなるのを感じた。 クソッ!これはやっちまったか。 「あー。お漏らししちゃったなー?」 オレは部屋あの隅に連れられて、ひっくり返された。 やれやれ。おめでたいのはオレのケツだったか。 テキパキと脱がされて、濡れたシートでケツをぬぐわれる。 ひゅう。こいつは最高にクールだぜ。 「さ。できましたよ~」 立ち上がると、新しいオムツがピッタリとフィットしてるのを感じた。 さすがのつけ心地。熟練のワザってやつだな。 ケツをポンと叩かれる。以前はこれですぐ転んだが、今は動じなくなった。 まったく。タフになったもんだ。 オレはうなずき、ファミリーの集う食卓に向かって歩き始めた。 3年目もよろしく頼むぜ。ベイビー (おわり)
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