0人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
オレのファミリーは能天気なヤツばかりだ。
誰かがひとつ年を取るだけで、やたらにハシャぎやがる。
ひとつ死に向かうことの何がめでたいんだか。
不幸なことに、今日はオレの誕生日だ。
ほっとけ。と無視を決め込んでも
ケーキだのプレゼントだの押し付けてくる。
チッ。またイチゴのショートケーキかよ。
この年でイチゴなんて柄にもない。
しぶしぶクチにするが、酸っぱくって仕方ねえ。
学ばねぇヤツらだな。あの店のフルーツは安モンだってのに。
プレゼントは服か。ふん。これはありがたくもらっとくよ。
ちょうど今のはキツくなってたところだ。
バクバク食ってたらすぐ腹が出ちまうからな。
続々と食事が運ばれてくる。
オイオイ順番が逆じゃねえか。ケーキを先に食わせるだなんてよ。
おっと肉か。こいつは文句言ってる場合じゃねえな。
サラダなんてのは虫が食ってりゃいいんだよ。
肉汁たっぷりのハンバーグ。ビーフ100%でな。わかってるねぇ。
ステーキってのは当たり外れがあるからいけねぇ。
固い肉は食えたもんじゃねぇからな。
気取って損するよりも、やっぱり王道のハンバーグよ。
ああウメぇ。
ワリィな牛のミンチども。オレの血肉になってもらうぜ。
肉を味わったあとは、冷えた水をグビグビいわす。
こんな時に酒を流し込むヤツはわかってない。
酒が入ると、とたんに酒が主役になる。
食いモンに集中したいときは雑味を排除するのがスジってもんだ。
苦味やら甘味やらは邪魔なだけ。水のミネラルで十分よ。
アツアツでギトギトの油の後にキンキンの冷たい水。
いいねぇ。腹ン中でシェイクされるぜ。
消化に悪そうなこの背徳感よ。たまんないね。
また腹が成長しちまうなぁ。
グルグルとイキのいい音も聞こえてくる。
「・・・あれ?なんか匂わない?」
その声が聞こえたと同時に、ケツが生温かくなるのを感じた。
クソッ!これはやっちまったか。
「あー。お漏らししちゃったなー?」
オレは部屋あの隅に連れられて、ひっくり返された。
やれやれ。おめでたいのはオレのケツだったか。
テキパキと脱がされて、濡れたシートでケツをぬぐわれる。
ひゅう。こいつは最高にクールだぜ。
「さ。できましたよ~」
立ち上がると、新しいオムツがピッタリとフィットしてるのを感じた。
さすがのつけ心地。熟練のワザってやつだな。
ケツをポンと叩かれる。以前はこれですぐ転んだが、今は動じなくなった。
まったく。タフになったもんだ。
オレはうなずき、ファミリーの集う食卓に向かって歩き始めた。
3年目もよろしく頼むぜ。ベイビー
(おわり)
最初のコメントを投稿しよう!