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「あなた、誰かお探しかしら」
夢中になってソフィアを探していた臣は、声を掛けられて初めて、目の前に立っている女性の存在に気が付いた。
「随分と焦っているようね。もしかして恋人と離れ離れになっちゃったとか」
恋人……それを確かめたくて気が急いていると説明するのもどうかと思い、臣は無言で頷いた。
「あなたはいいわよね……あ、ごめんなさい、いきなり声を掛けちゃったりして」
ショートヘアーに黒い肌、小柄ながらも上下を紺のスーツでかため、全体的に知的に見えるその女性に臣は尋ねた。
「あなたの載っていたヘリに、ロシア人女性はいませんでしたか」
「ごめんなさい。私のところにはアメリカ人しかいなかったわ」
即答したことに不信感を抱いた臣だったが、その答えは後に分かった。
「アレサ、その東洋人はお前の知り合いか」
歴戦のプロレスラーを彷彿とさせる大柄な男が、女性の背後から言葉を投げかけてきた。
その面に圧倒され、一歩、二歩後退った臣を見て、その女性は笑いながら振り向いた。
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