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二週間前に、アレサはこの死の島に足を踏み入れた。地質調査のための上陸だった。
調査は一か月を予定していたが、突然本国から帰国命令が下され、調査は一週間で終了となる。一週間の調査の中、ここには何もないと予想していたアレサは反論することなく、あっさりとその命令を受け入れた。
アレサにはジョージという婚約者がいた。調査終了後すぐに結婚式を挙げられるように日程も調整していた。ところが予定よりも三週間も早い帰国である。式を挙げるまでの毎日が、とても長く感じられた。
そんな二人を見かねてか、ジョージの友達であるマイケル・ファーマーがあるチケットを二枚渡してくれた。それがあの野外フェスのチケットだった。
競争率が史上最高だったとも噂されたチケットをマイケルがゲットしていた事自体に驚いたが、なによりもそんな貴重なチケットである。二人は何度も断ろうとしたが、お前らの結婚の前祝いだと笑いながら、マイケルはジョージにチケットを半ば強引に押し付けると、楽しんで来いよと手を振りながら足早に去っていった。
二人は突然の事に暫く呆けていたが、顔を見合わせた後、どちらからともなく最高の独身時代最後の想い出にしようと言いながら、二人で抱きしめ合った。
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