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アレサはジョージの元へと駆け寄った。無表情ではあったが、それ以外はいつものジョージと変わった様子はなく、アレサはその腕、肩、ふくらはぎの噛み跡から流れる血を見て涙した。
「ジョージ、大丈夫?痛くない?」
ジョージの安否を気遣って声を掛けたアレサだったが、ジョージはそれに答えることなく、ゆっくりとした動作でアレサの首筋に口を寄せると、そこに歯を立てた。
それは刹那の出来事だった。アレサの全身に電流のようなしびれを感じたかと思うと、次の瞬間、ソレを理解した。
無表情だったジョージが微笑んでいるのが分かる。そして、どちらからともなくお互いの首筋に歯を立て合った。同時に、二人の愛が偽りの者ではなく、心からお互いを慈しみあっているのだという事も確信した。
ゾンビ菌の意思なのか、それとも自らの意思なのかは分からなかったが、二人はこれは人類の必然であり革新であると衝動的に感じ、愛を確かめ合った後は積極的に他の人々にも感染させていった。
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