4人が本棚に入れています
本棚に追加
「あいつら、俺たちをなんだと思っていやがんだ」
アーノルドの憤りに、アレサが答える。
「まあ少なくとも人間扱いはしてなさそうね」
光莉はうつむいている臣の目の前に回り込んだ。
「ごめんなさい、わ、私のせいでソフィアが」
「いや、光莉のせいじゃないから、そんな暗い顔しないで」
臣は顔を上げると、光莉の肩に手を置いた。
そのしぐさに光莉も一度うつむいてしまったが、すぐにその顔をゆっくりと上げた。そして、恐る恐るその右腕を臣の目の前に掲げた。
「私も、臣のこ、恋人にして……下さい」
たった今最愛の人が連れ去られたという話を聞いたばかりの臣は言葉に詰まった。代わりにアーノルドとアレサが問い詰める。
「おい、それは違うんじゃねえのか」
「あなた、自分が何を言ってるのか分かって?」
「分かってるわよ!!」
大人しそうに見えた光莉の突然の大声に、アーノルドもアレサも面食らってしまう。
「ソフィアが愛した臣を私も愛したい!それのなにが間違ってるっていうの」
「それはちょっと歪んでないかしら」
少しの間をおいて光莉は言い放った。
「歪んでいるのは人間の方よ」
光莉のその言葉にはどこか重みがあった。
最初のコメントを投稿しよう!