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ユナイテッド・ネイションズ・2
「最初からアメリカに任せずに、当初の予定通り我々六か国が共同で進めればよかったようだな」
「すでに国連加盟国には通達を出している。退船した豪華客船をそれ用に改修している国も多いというのに、どう責任を取るつもりかね」
各国の首脳に責められても、アメリカ大統領は顔色一つ変えない。
刑務所に掛かる費用の問題は各国を悩ませている。年々犯罪者が増え続け、収容施設不足は深刻になっていた。老朽化した施設の改修だけでなく、服役者の最低限の福利厚生費もばかにならない。
そのことを踏まえ、国連常任理事国での話し合いで、死の島に収容所を造成しようという事で意見が一致した。
当面の予定として、各国の犯罪者の内、死刑囚及び無期懲役者、あるいは懲役五十年以上の犯罪者をこの島に送り込む。
ただし、死刑廃止国への配慮として、懲役年数を設定したものであり、実質的には他国であれば死刑及び無期懲役が勧告されていてもおかしくないものを対象とする。
ただ、当初から分かっていた通り、この島では食物が育つ土壌もなく、生物も存在しえない。かろうじて流れている川の水も塩分がまだまだ多量に含まれており、飲み水には適さない。
それではなぜ、彼等はここに犯罪者を送り込もうとしたのか。
そこには決して表ざたには出来ないある計画があったからだ。
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