鎮 圧

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鎮 圧

「現状を報告してくれ」   米軍特殊作戦司令官のジェームス・スコットマーカーは軍用ヘリで現地に到着すると、先に到着していた陸軍司令官をヘリに招き入れ、現場の状況を尋ねた。 「州警察がゲートを封鎖し、感染者の封じ込めには成功しました。ですが中には約五千人が取り残されています。その全員が間違いなく既に感染しているものと思われます」 「で、そいつらは本当にゾンビと言えるのか?ただの集団パニックという可能性はないのか」  米軍に限らず、各国の軍隊はゾンビの出現を想定した訓練を行っていたが、いざそれが出現したとなると、にわかには信じがたいものがあった。 「場内から逃げてきた一般客と、現場を目撃した州警察の証言から、間違いないと思われます。ただ……」 「ただ……なんだ」 「はい、我々が想定していたゾンビとは、何点か異なる点もあるようです」  スコットマーカーは一度話を遮ると、隣にいる副司令官に指示を出した。 「すぐにマスコミにかん口令を敷くように指示を。それから、場内から逃げ出した一般客の個人情報を収集させ、今日の事は口外しない事を徹底してくれ。こんな事が知れたら街中が、いや、世界中がパニックになりかねない」  次にモニターに視線を移す。 「ヘリからの映像だけでは様子が掴めないな。ドローンを飛ばしてもっと接近した映像を送れ」  スコットマーカーはモニター係にそう指示を出し、再び陸軍司令官に向き直った。
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