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どう見ても人にしか見えないその姿にスコットマーカーはためらいを憶えたが、鎮圧しない訳にもいかない。彼は意を決して指示を出した。
「ゲートを開け。そしてそこから一人たりとも出すな。頭部を狙え。それでも止まらない場合は顔全体を撃て。ただし、万が一助けを乞うものが居たら保護を。奴らは声を発しない。声を出して助けを求める者がいたとしたら、そいつはまだ感染者じゃない可能性が高い」
彼らがゾンビなら、頭部を撃ち抜けばその活動を停止する。また、もし仮にそうでなかったとしても、顔を、口元を破壊すれば、奴らは感染させる術を失う。
狙撃兵たちが一斉に銃を構え、ゆっくりとゲートが開かれた。それでも、映画のようなゾンビとは違い、一斉にそこから飛び出しては来なかった。
我先にという事もなく、一人、二人とゆっくりとそこから歩み出た。誰一人声を挙げる者はいなかった。狙撃兵たちは指示通り、ゲートから出て来た者だけを確実に撃ち抜いていく。
頭部を撃たれたゾンビはその場で活動を停止し、想定通りそこが弱点だと分かる。しかし、ここからの彼らの行動が、また想定外であった。
三人目のゾンビの頭部を撃ち抜いたところで、彼らはその歩みを止めたのだ。
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