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……最低だな。俺。
手洗い場の鏡で自分の顔を見ながら、俺は溜息をついた。
結局、俺は旭を忘れられないんだ。その証拠に、今日も左手首には旭の形見であるリボンを巻いている。
燕ちゃんの気持ちに応えたいなんて言い訳で、俺は旭を忘れるために燕ちゃんを利用しようとしてるだけなんじゃないか……?
今の俺を見たら、きっと旭もがっかりするだろうな……。
……いや、旭は俺が燕ちゃんと付き合っても、旭にしがみつき続けても、怒らずに見守り続けてくれるだろう。
そんなことより、大事なのは燕ちゃんのこと。燕ちゃんに辛い思いをさせないためにも、俺がしっかりしないと……
燕ちゃんを悲しませたくない。大事にしたいという気持ちは、確かにあるのだから。
……いっそ、この気持ちを全部話してしまおうか。旭を忘れられないことも、燕ちゃんを大事にしたいことも、全部話して……誠意を持ってぶつかってみるのがいいのかも……
よし。決めた!
俺は両頬をパンと叩き、燕ちゃんの元へ戻った。
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