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2 想い出
自室に戻ると、俺はベッドに倒れ込んだ。
明日までに答えを出すって決めたけど……出せるのかな?
燕ちゃんのことはよく知ってる。優しくて、気配りができて、翔太に似て美人さんだ。普通の男子なら、告白されて悪い気はしないはず。
でも、俺には忘れられない人がいるんだ。
「……旭」
──明星旭。3年前、俺を助けて命を落とした少女。
俺のことをヒーローだって言って、ずっと信じてくれた。俺に命を託してくれた。
一緒に過ごせた時間は本当に短かったけれど、旭は俺にとって大切な人だ。
艶のある茶色の髪、キラキラ輝く蜂蜜色の瞳、控えめだけど優しい笑顔。今でも夢に見てしまう。
旭に対して抱いていた、温かくて優しい感情。一言で纏めるのは難しいけど、あれはきっと恋だったんだと思う。
「もう3年経つのにな……」
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