2 想い出

1/2
前へ
/18ページ
次へ

2 想い出

 自室に戻ると、俺はベッドに倒れ込んだ。  明日までに答えを出すって決めたけど……出せるのかな?  燕ちゃんのことはよく知ってる。優しくて、気配りができて、翔太に似て美人さんだ。普通の男子なら、告白されて悪い気はしないはず。  でも、俺には忘れられない人がいるんだ。 「……旭」  ──明星旭(あきほしあさひ)。3年前、俺を助けて命を落とした少女。  俺のことをヒーローだって言って、ずっと信じてくれた。俺に命を託してくれた。  一緒に過ごせた時間は本当に短かったけれど、旭は俺にとって大切な人だ。  艶のある茶色の髪、キラキラ輝く蜂蜜色の瞳、控えめだけど優しい笑顔。今でも夢に見てしまう。  旭に対して抱いていた、温かくて優しい感情。一言で纏めるのは難しいけど、あれはきっと恋だったんだと思う。 「もう3年経つのにな……」
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加