幼馴染で両思いなのに運命の番じゃないわけがないだろ?

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「よ、八葉」 「………賀茂君」 「んだよ、疲れてんな。お勉強もいいけど、ちゃんと息抜きできてんのか?」  予備校から家へと帰る途中。見たくない顔がそこにはあった。  仲間たちと一緒にいた賀茂は俺の顔を見るなり近付いてくる。 「……大丈夫だよ、これくらい」 「けど、顔色悪いぞ。なんか顔赤いし」 「……ッ!」  いきなり賀茂に首に触れられ、凍り付く。分厚く、硬い掌に心臓を鷲掴みにされたような感覚だ。全身から血の気が引く。 「っ、さ、触らないで……ッ!」  そう賀茂の手を振り払えば、賀茂は目を丸くした。周りの奴らは何事かとこちらを見てる。 「おい賀茂〜、なに弱い者いじめしてんだよ〜」 「馬鹿、してねえよ」 「あーあ、八葉君かわいそー」 「振られてんじゃん、賀茂〜」  周りの笑い声がやけに大きく響く。  目の前が段々暗くなっていくのだ。……あのときと同じだ、暗いリビングのなか、声を潜めて言い争っている両親を見たときと同じ――。 「……ッ、」 「八葉? ……って、おい、八葉!」  いても立ってもいられなかった。  いたたまれなくなり、俺は堪らずその場から逃げ出したのだ。  どこへ逃げようだなんて考える暇もなかった。ドクドクと脈打つ鼓動。胸が、心臓が苦しくて、俺は胸を抑えたままとにかく人がいない場所を探した。  やってきたのは住宅街の閑静な公園だった。  既に暗くなり、街灯に照らされたそこには子供たちの姿は見当たらない。  俺は逃げるように公衆便所へと駆け込んだ。  ただの体調不良などではない。この感覚には覚えがあった。  目の奥がじんわりと熱くなり、腹の奥どろどろとした熱が燻るような感覚――発情だ。  こんな短い間隔で発情期がやってくるなどとは思っていないだけに戸惑った。  早く、早く薬を飲まなければ。洗面台に鞄を置き、中を弄る。が、見当たらない。  どうして。と思い、気付く。そうだ、丁度切らしていたから今夜の帰りに買い足す予定だったのだ。  それを、あの男に――賀茂に邪魔された。  今からでも薬局へ駆込めば、そう思い、公衆便所から出ようとしたときだった。  出入り口の前、そこに立っていた人影に気付き、青褪めた。 「……ッ、か、賀茂君……」  そこには賀茂が立っていた。出入り口を塞ぐように無言でこちらを見ていた賀茂に血の気が引く。  抑制剤がない今、αである賀茂といるのは危険だと思ったがやつはただ冷めた目でこちらを見ていたのだ。 「……八葉お前、ヒートか?」 「っ、ちが……これは……」 「違わねえだろ。……お前βだったよな、それに、なんで首輪もしてないんだ」 「俺が抑制剤飲んでなかったらどうするつもりだ?」と呆れたような顔をした賀茂。近付いてくる賀茂に息が苦しくなる。心臓がおかしくなりそうなほど早くなり、俺は堪らず後退るがあっという間に壁に追い込まれた。 「か、賀茂……ッ」 「それとも、誰かに襲われるの待ってたのかよ」  賀茂にはヒートが効いていない。はずなのに。  覆い被さる影に、近付くほど濃厚になる賀茂の甘い香りに頭の奥がじんわりと溶けていく。  乾いた指先に首筋を撫でられれば、それだけで皮膚がぴりっと痺れるるのだ。 「っ、ぁ……ッ」 「否定しろよ、八葉」 「っ、ちが、お、俺……ッ」 「なんで俺にΩになったこと隠してた?」  賀茂はいつもアホみたいに笑ってて、だから、こんな風に怒ってる賀茂見たことなかった。  そもそもなんで賀茂が怒るのかわからない。Ωのことだって、お前に言う必要はないはずだ。  それなのに。 「っ、賀茂……ッ、ん、ぅ……ッ」  唇を塞がれ、体の芯からぞくりと震える。  初めての感覚なのに、まるで待っていたかのように全神経が喜ぶのが分かり恐怖した。  違う、なんで、こんなことしたくないのに。 「っ、ふ、ぅ……ッ」  肉厚な舌を挿入され、歯列から顎裏まで舐られる。ぞわぞわと無数の虫が這い上がってくる感覚に耐えきれずに逃げようとするが、大きな掌に後頭部を掴まれ更に喉の奥まで犯されるのだ。 「ん゛ッ、う゛……〜〜ッ」 「っ、は……小せえ舌、……ッなあ、八葉、俺達こうやってキスすんの何年ぶりだろうな?」 「っ、ん、し、らな゛、やめ、ぉ゛……ッ、ん゛……ッ、ふ、ぅ……ッ」  ぢゅぷ、と更に舌をしゃぶられ、噛まれる。性器に見立ててやつの舌先でねっとり粘膜同士をこすり合わせるように根本から先っぽまでを丹念にしゃぶられれば、それだけで咥内には唾液が滲みだすのだ。  何故、賀茂にキスされてるのか。賀茂の言葉の意味すらもわからない。それでも顎の下を指先で撫でられながら更に喉の奥まで太い舌で犯されれば、あまりの息苦しさと感じたことのない心地よさに何も考えられなくなるのだ。 「っ、ふーっ、ッ、う、ん゛ぅ……ッ」  逃げたいのに、がっちりと固定された頭は動かすことすらできない。お互いの唾液でぐちゃぐちゃに混ざりあった咥内、賀茂に乱暴にかき回されるだけで下腹部が熱くなる。  唇と舌がふやけてしまいそうなほどのキスに耐えきれず、腰を抜かしてしまえば、賀茂の筋肉質な腕に腰を抱き止められた。 「っ、か、もく……ッ」 「あー……ッ、その顔、お前、そんな顔もできんのな」 「安心したわ」とそのまま尻を掴まれて息を飲む。抱き寄せられ、臍の辺りに硬い感触が推し当てられる。硬く膨らんだそれがなんなのか確認する勇気もなかった。 「な、んで……ッ」 「なんでって、そりゃ抑制剤飲んでも関係ねえだろ」 「……っ、は、離し……ッ」 「離さねえよ……そもそも、こんな調子でどこに行くんだ? 俺以外のわけわかんねえやつに襲われて終りだろ」  スラックス越しに尻の肉を揉まれ、摘まれる。それだけで腰が跳ね上がった。  逃げたいのに、逃げられない。わからない。自分の体のはずなのに、体が言うことを聞かないのだ。  食い込む指先に尻の割れ目を撫でられ、ひく、と喉が震えた。嫌なのに、こんなこと望んでないのに、屈辱なのに、自分の意識とは反対に体が反応するのだ。 「かわい……震えてんのか?」 「っ、ぃ、いやだ、賀茂君……っ」 「お前が悪いんだろ、お前がもっと早くΩだって教えてくれてたらこんなことなんてせずに……」  言い掛けて賀茂は口を閉じた。その代わりに、俺の股の間に膝の頭を入れてくる。  強制的に開脚させられ、制服の下、膨らんだ下腹部を眼下に晒された。慌てて閉じようとするが賀茂の足が邪魔で閉じれず、「賀茂君」と声を上げれば賀茂のやつはそれを無視して俺の股間を膝で柔らかく圧迫してくるのだ。 「っ、ひ、う……ッ」 「はは、八葉も勃起すんのな。……なあ、ヒートってどんな感じ? 他のやつはもっとガツガツしてんのに、お前はしおらしいのな」 「そーいうところも余計エロいわ」と、肩口に顔を埋めてくる賀茂に首筋を舐められ、飛び上がりそうになる。  首は駄目だ。このまま項に歯を立てられるのではないかという恐怖のあまり、賀茂の頭掴んで引き剥がそうとするが、うっすらと浮かぶ首筋の血管をしゃぶられれば力が抜けてしまいそうになる。 「っは、ぁ……ッ、い、やだ……っ、やめて、賀茂君……ッ」 「お前って本当強情だよな、見かけによらず」  シャツのボタンを外され、首筋から鎖骨へと唇を押し付けられる。熱い。熱くて、くすぐったい。もっと抵抗しなければと思うのに、それ以上に賀茂に逆らうことを恐れている自分がいた。  乱されたシャツの下、晒された素肌に賀茂の手が這わされる。臍から腹筋へと這い上がってくる賀茂の手は、そのまま胸に触れる。 「なんだ、お前、昔と全然変わんねえな」 「っ、……み、るな……ッ」 「胸突き出してんのは八葉だろ。ほら、ここも頑張って勃起してる」 「ひぃ……ッ!」  シャツの襟口を広げられ、そのまま尖った乳首を乳輪ごと絞られる。それだけで恐ろしいほどの刺激が胸から脳へと走り、情けない悲鳴が漏れた。  賀茂は薄く笑い、更に指先で乳頭を押しつぶす。 「っ、や、め……ッ、賀茂く、ぅ……ッ、い、痛いよ……ッ!」 「痛いだけ?」 「ぅ、あ……ッ!」  もう片方の胸を掴まれ、すり、と側面を擦らる。執拗に先端部分を摘まれ、捏ねられ、びくんと跳ね上がる上半身。逃げたいのに、壁と賀茂に挟まれた体は逃げ場などはない。動こうとすればするほど賀茂の膝に跨ってしまうような形になり、文字通り追い込まれる。 「っ、ぅ、う゛……ッ」 「はは、すげえビクビクしてる。そんなに乳首気持ちいいのか?」 「っ、ぁ゛……ッ、ち、が……ッ、こんな……ッぉ゛……ッ!」 「Ωって妊娠したら母乳出るんだってな。お前も赤ちゃんできたらここから母乳でんのか」 「っ、ぅ゛、や゛……ッ、いやだ、やめろ……ッ」  笑いながら恐ろしいことを言い出す賀茂に背筋が震える。やつの胸板を押し返そうとするが、更にぎゅっと乳首を引っ張られ、「ひう!」と女みたいな声が出てしまう。  それから賀茂は更に程よりも荒い手付きで俺の胸を揉み、乳首を柔らかく扱くのだ。 「っ、ひ、い、やだ」 「なにが嫌だよ。お前はΩになったんだろ? ってことは、ここももうそういうものになってんだよ」 「っ、ぁ゛……ッ、ひ、……ッ」 「でもこんな小さい乳首じゃ赤ちゃんがしゃぶるのもしんどいだろ」 「だからほら、俺が育ててやるよ」耳を舐められ、鼓膜へと直接流し込まれる賀茂の声に背筋が凍り付いた。 「な、に、言って……ッ!」  言いかけた瞬間だった。乳首を柔らかく押し潰され、そのまま乳輪へと埋め込むように穿られ、声にならない悲鳴が漏れる。  胸の奥で賀茂の指先がぐるりと動く。内側を擦られ、指を抜かれたと思えばまたぷっくりと浮かび上がる乳首を今度は軽く摘まれ、そのままシコられる。 「っ、ぃ、やだぁ……っ、やだ、賀茂く……ッ!」 「逃げるなよ、ほら。まだ痛いか?」 「っ、ひ、ィ……ッ!」  頭がどうにかなりそうだった。  乳首ばかりを責められ、ただただ気持ち悪いだけなのに。  遠慮なく誰にも触れられたことのない場所を賀茂に好き勝手荒らされ、頭の奥、脳髄を直接掻き回されるような感覚に陥る。 「……っ、い゛……ッいやだ、これ……っ、いやだ……ッ!」 「じゃ余計慣れないとな」 「っ、く、ひ……ッ!!」  穿られ、引っ張り出され、そんな愛撫を執拗に行われる内に胸の感覚がどんどん鋭くなっていく。  息が吹きかかっただけで上体が跳ね、そんな状態で再び乳首を指先で引っかかれた瞬間腰が震えた。絶頂にも似たその感覚に視界が白く点滅する。びくん、と再度跳ねる体。俺はそれ以上自立することができず、脱力した俺を「おっと」と抱きかかえたまま、賀茂は笑った。 「八葉、乳首弱かったのか? でも気持ちよかっただろ?」 「……っ、は、……ふ……ッ」 「聞こえねえか、これ」  遠くなる賀茂の声。そのまま俺を抱き抱えた賀茂は俺の腰を撫でる。  熱に浮かされた頭の中、ようやく終わったのだろうかとぼんやりと思ったときだった。腰に回された賀茂の手にそのまま下着ごと下を脱がされるのだ。 「っ、待……って……ッ、賀茂君……ッ!」 「ん? ……っ、どうした?」 「な、んで」 「なんでって、そりゃお前が辛そうだから」  違う、と言うよりも先に、閉じきっていた肛門に賀茂の太い指が押し当てられる。そして遠慮なく中へと挿入される指に堪らず声をあげた。 「っ、ぃ゛……ッ、ぁ゛ぐ、……ッ」 「ってのは口実で、俺のが我慢できねえから」 「か、も゛く、ぅ゛……ッ、ひ、ぃ……ッ!」  熱くて、痛くて、それ以上に痒いところに手が届くような感覚に神経がおかしくなるほどだった。  あの賀茂が俺の肛門を性器のように弄ってる。それだけでも気が狂いそうなのに、長くゴツゴツとした指は的確に人のいいところを探り当ててくるのだ。 「っぬ、いて……ッ、ぬ゛、い゛……ッ、ひ、ぐ……ッ」 「流石に狭いな。……俺の入っかな」 「っ、ぅ゛、ひ……ッ!」  サラリと恐ろしいことを口にする賀茂に青褪める暇すらもなかった。  入り口付近の筋肉を解すようにかき回され、腰が跳ね上がる。苦しいのに、腹の内側をかき回す異物感すら快感として拾い上げてしまうこの体質が何よりも憎かった。 「ぅ゛、ふ、ぐ……ッ! ひ、ぅ゛……ッ!!」 「っ、は……泣くなよ八葉。そんなにいいのか?」 「い゛やだ、ッ、ぬ゛い゛て、ッ、おねがい、がも゛く……ひう゛……ッ!」 「……ああ、お前の良いところここか? お前細いから探しやすくて助かるわ。……ほら、ここいっぱい擦ってやるからな。そうすりゃもっと気持ちよくなるだろ?」 「ッ、ぅ゛……――〜〜ッ!」  太い指に前立腺を探り当てられたと思えば、指の腹で柔らかく、そして執拗に責立てられる。  尿意に似た快感が全身へと広がり、瞼裏がチカチカと点滅する。最早地に足を付くことすらもできなかった。賀茂の逞しい腕にしがみついたまま、ひたすら責立てられる下腹部は執拗な愛撫に耐えられずにガクガクと痙攣した。  人語を発することもできなかった。閉じることもできず、食いしばった奥歯。咥内に溜まった涎がたらたらと溢れ、賀茂はそんな俺の醜態を見ては恍惚と微笑むのだ。 「い゛ひ、ッ、ぐ、ぅ゛うぅ……ッ!」 「っ、気持ちいい? なあ、八葉、俺の指はうまいか?」 「ぎ、もちい゛……ッ、きも、ちい……からぁ゛……ッ! ひぃ……ッ!!」 「……っ、そうか、じゃあもっとよくしてやるからな」  更に腰を持ち上げられ、賀茂の指が更に追加される。増す圧迫感に腰が逃げそうになるが、賀茂は構わずみちみちと中を広げ、指の根本まで挿入してくるのだ。 「ぉ゛……ッ、ふ、ぅ゛……ッ!」  複数の指が不揃いな動きで中を掻き回してくるのだ。休む暇もなく与え続けられる内部の快感に耐えきれず、嗚咽にも似た喘ぎ声を堪えることはできなかった。  責立てられる。シャツの下、限界まで勃起した性器が腰の痙攣に合わせてふるふると揺れた。睾丸が引っ張られ、頭の中が段々白ばんでいく。俺の限界が近いのだと賀茂も気付いたのだろう、その愛撫は更に間隔が短くなり、あっという間に俺は射精した。  半濁の液体が反り返った性器からぴゅっぴゅっと溢れ出す。それを一瞥した賀茂はそれでも責める手を止めるわけではなく、更に追い打ちをかけてくるのだ。 「ま゛、ぅ゛、やめ゛、ッ、も゛、むり、出ない……ッ! でな、あ゛ッ、でない、出ないからぁ……ッ!」 「いいや嘘だな。まだ溜まってんだろ、ほら、イケよ。俺が息抜きさせてやる。遠慮しなくていいんだぞ」 「いやだ、いやだいやだ、賀茂くッ、ぬ゛い゛……ッ! 出る、いやだ、も゛っ、くるし、ぅ゛、出ちゃ、ぁ゛……ッ! 出る……ッ!!」  自分が何を言ってるのかすらもわからなかった。射精したばかりの体に絶え間ない責め苦は拷問に等しい。更に塗り重ねられる快感に呆気なく体は達する。勢いよく精液は尿道から溢れ出した。  それをもろに被った賀茂は目を見開き、そして、そのまま脱力する俺を見下ろしたままごくりと固唾を飲んだのだ。 「ははっ、お前……まじか」 「っ、は、……ぁ……」  ぐぷ、とようやく賀茂の指が引き抜かれる。息も絶え絶えだった。無理矢理広げられ、執拗にかき回された肛門は開いたまま、そこに推し当てられる指とは違うものの感触に目を見開いた。  後頭部と背中を壁に押し当てるように腰を持ち上げれ、その下腹部。開脚するように開かれた股の間に推し当てられるグロテスクなそれを見た瞬間心臓が跳ね上がった。 「っ、ぅ、や……ッ」 「嫌じゃないだろ。お前だってこれが欲しいって腰がこすりつけてくる」 「ち、がう、俺、おれ……ッ」  柔らかくなった肛門に、ぷに、と推し当てられるのは肉色のエラ張った亀頭だ。指なんか比ではないその太さと長さに、これを全て根本まで挿入されたときのことを考えてはぶるりと背筋が震えた。 「……ッ、ならやめるか?」  そんな俺を見下ろしたまま、賀茂は自分の性器を掴んだまま俺の性器に重ねるようにぺちんと落とす。質量と重さ、そして熱。臍の当たりまで優に超すその男性器に無意識に喉の奥へと唾の塊が落ちていく。  怖い、こんなもの入るわけがない。壊れてしまう。そう思う反面、バキバキに筋に覆われたその性器に腹の奥まで力づくで挿入されたときの衝撃と快感を想像しては目の前が眩んだ。はっはっと性器を前に犬のように呼吸が浅くなる俺を見て、賀茂は「なあ八葉」と耳元で俺の名前を呼ぶ。 「俺、普通よりも結構でけーらしくてさ。……ここ、普通なら結腸の入り口があんだけど、俺のチンポならここの壁突破して、もっと奥まで気持ちよくさせれんだってさ」 「っ、ぁ……ああ……」 「ここの壁、チンポでハメるとすげー気持ちいいってさ。……なあ、お前だって気持ちよくなりたいだろ?」  臍の数センチ下をとんとんと叩かれ、その振動だけでも感じてしまいそうになる。甘い賀茂の声に心臓の音が更に大きくなるのだ。  なあ八葉、とそのまますりすりと下腹を撫でられれば、なにも挿入されていないはずの内壁がきゅう、と締め付けられる。  自分がなにされてるのか、なんでこんなことになってるのかすらもうわからなかった。  ただ、賀茂の性器から目を逸らすことができなかった。口の中に唾液が滲む。  もう、なんでもいいんじゃないか。こいつにΩだってバレたんなら、もうどうだって。  そんな思考が過ぎった時、俺の心でも読んだかのように賀茂は俺から性器を離した。  ほんの一瞬でも腰を動かして追いかけそうになる俺に、賀茂は笑うのだ。 「その代わり、約束しろよ」 「や、くそく……?」 「ああそうだ。……お前の運命の相手は俺だって。俺だけのΩになるって」 「この口で」と唇を撫でられる。賀茂の言葉の意味なんて分からない。  熱で溶かされた思考回路では正常に物事を判断することができなかった。  あるのはただ、眼前の性欲だけだった。
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