恋人であるということ

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ナオくんの部屋には何度か泊めてもらってはいるけれど、抱かれたのは初めての時のあの一度きり。 狭いベッドの上でナオくんに抱き締められながら眠っているのに、キスより先のことは何もしてこなくなってしまった。 桃子さんの言っていたように、本当に病気なのかと思ったこともあったけど―― 私を抱き締めたりする時のナオくんの体は必ずと言っていい程に反応していて、私の体に当たっているから、きっと病気なんかじゃない。 ナオくんなりに、何か理由があるんだとは思うけど…… 時々辛そうな顔をしながら、それでもキスまでで止めてしまうナオくんを見ているのは私も辛い。 もっといっぱいナオくんに触れて欲しいのに。 それをナオくんに伝えてしまってもいいのか分からなくて、ずっと悩んでいたわけで。 今日が、そのチャンスな気がする。 だって、あんなにヤキモチを焼いたナオくんなんて初めて見たもん。 今日ならきっと、我慢している理由を教えてくれるはず。 私は鞄から取り出した荷物と固めた決意を胸に抱え、バスルームに向かった。
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