626人が本棚に入れています
本棚に追加
/247ページ
お風呂から上がった私は特にすることもなく、ソファーの上で体育座りをしてナオくんの帰りを待っていた。
ナオくんの晩ご飯の用意をしようと思っていたけど、休憩時間にまかないを食べてくると言っていたので、必要なくなった。
テレビも、観ても内容が頭に入ってこないので点けていない。
ただひたすらボーッと座って待っていると、
――ピンポーン……
インターホンのチャイムが鳴った。
慌てて玄関に向かうと、
「ゆづー、開けてー」
扉の向こうから大好きなナオくんの声。
鍵と扉を開けると、
「ゆづ!」
目が合った瞬間、ナオくんは嬉しそうな笑顔を浮かべて、玄関に入るなり私を思い切り抱き締めた。
「ゆづが俺の部屋にいる……」
「呼んでくれたのはナオくんなんですけど」
ナオくんの胸に顔を埋めたまま、思わずツッコミを入れてしまった。
「お風呂、追い炊きしてくるから離して」
「……おかえりのキスはなし?」
悲しそうに私を見つめるナオくんに、私は言葉を失う。
え……何、この可愛い感じのナオくんは?
こんなナオくん、私は知らない。
最初のコメントを投稿しよう!