恋人であるということ

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こういう新しい一面を見る度に、ナオくんのことがどんどん好きになる。 好きって気持ちの強さに、上限なんてないんじゃないかと思うくらい。 そんな気さえしてくるから、恋愛感情っていうのは不思議なものだと思う。 「ゆづ」 体を屈めて私と目線の高さを揃えたナオくんが、期待の(こも)った眼差しで私を見つめる。 ……これは、私の方からキスをしろという意味なのか。 まだ数回しかキスの経験のない私に、ナオくんはそんなハードなことを求めるつもりなの? 「……」 顔を真っ赤に染めて固まる私に、 「……俺がしたら主導権は俺が握るけど、それでもいいの?」 ナオくんはそんなことを言うけど、私にはその意味が分からなくて―― 気が付いた時には、私は玄関の壁に押さえ付けられていた。 「えっ? ナオく――」 すぐに唇を塞がれて、ナオくんの熱い舌が滑り込んでくる。 逃げても深くしつこく絡め取られて、 「んんっ……!」 上手く呼吸が出来なくなった。 ……ていうか、キスされてる間の呼吸って皆はどうしてるんだろう? ナオくんに鼻息がかかってしまうのが恥ずかしくて、私は漏れそうになる吐息すらも我慢しているのだけれど。 だから苦しくて、自然と涙が滲んでくる。 「ゆづ……ちゃんと鼻で息して」 我慢しているのが、ナオくんにバレてしまった。 「でも……」 「今日は手加減してやれる自信がないから、言うこと聞かないとゆづが辛いだけだぞ」
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