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それはどういう意味なのだろう。
考える暇も与えられずに、
「ふ……あっ……」
また深く絡むキスを落とされて、頭の中が真っ白になる。
背中を硬い壁に押し付けられているのに、それを感じる余裕もないくらいに――
ナオくんから与えられる熱が気持ちいい。
気が付くとナオくんの体が密着していて、下腹部に何かが当たる感覚がする。
私の左胸に一瞬だけ軽く触れたナオくんの右手は、
「……っ」
すぐに私の左頬に添えられた。
……また我慢してる。
そう思うと、触れられた胸がぎゅっと締め付けられるように苦しくなる。
私の頬に添えられたナオくんの手を掴んで、胸元まで誘導するように押し下げた。
その瞬間、
「……!」
ナオくんが、びくっと弾かれたように私から離れた。
「……ゆづ……?」
私を見つめるナオくんの目は、驚きで大きく見開かれている。
「なんで我慢するの?」
「……」
私の質問に、ナオくんは黙ったまま目を逸らした。
廊下の途中にあるバスルームの方をちらりと見て、
「ごめん……先に風呂入ってくる」
玄関に私を残したまま、自分だけ先に脱衣所へと向かう。
「あっ、追い炊きがまだ……」
慌てて追いかける私を、
「待ってる間に体とか洗えるから、いいよ」
ナオくんは脱衣所の扉を閉めて拒絶してしまった。
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