恋人であるということ

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リビングのソファーから寝室までは本当に目と鼻の先の距離なのに…… 繋いだナオくんの手は、少しだけ冷たくて震えているような気がした。 ベッドにそっと押し倒されて、 「ゆづ」 今度は両手で恋人繋ぎをされる。 私を見下ろすナオくんの目は、初めて抱かれた時は獰猛(どうもう)な狼のような鋭い目つきだったのに…… 今は期待の込められた熱い眼差しのようにも見えるし、何かを抑え込もうとしているような、苦しそうな目をしているようにも見える。 「ナオく――」 彼の名前を呼ぼうとして、途中で唇を塞がれたので最後まで言えなかった。 唇が軽く触れ合うだけの優しいキスを、何度も何度も落とされる。 ナオくんが私の両手を解放してくれたので、すぐに彼の首に両腕を回した。 彼からのキスと、彼にしがみつくことに夢中になっていた私は―― 彼の手が、私のパジャマのボタンを外してしまっていたことに全く気が付かなかった。 そのことに気付いたのは、 「あ、んっ……!」 ナオくんの両手の指先が、私の胸の頂に優しく触れた時。 「な、んで……いつの間に……?」 いつの間にかホックを外されて浮いてしまったブラの中に、ナオくんの両手が侵入してきていた。
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