恋人であるということ

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少しだけ冷たい彼の指先が、敏感な私の先端を優しく刺激してくるから、 「や、ぁっ……!」 思わず出てしまった大きな声に、自分でもびっくりして慌てて両手で口を押さえた。 「……ここ触られるの、嫌?」 ナオくんはそう訊ねながらも、指先で先端を(こす)る動きを止めてはくれない。 触れるか触れないかという絶妙な力加減でひんやりとした指先を擦りつけてくるので、気を抜けば変な声が漏れ出そうになる。 「嫌とかじゃなくて……ナオくんの手が冷たいから……」 「じゃあ、ゆづの体温で温めて」 ナオくんのその言葉の意味を私が理解するよりも先に―― ナオくんの両手が、私の胸を優しく包み込んだ。 あっ、と思った瞬間にはもう既に遅く、彼の指は少しの力だけで簡単に食い込んでいく。 丸い形をしていたはずの2つの膨らみは、左右それぞれの手の動きに合わせてばらばらに形を変えられた。 冷たかったはずの彼の手が、段々と熱を持ち始め、触れられている部分がとてつもなく熱く感じる。 「……っ」 漏れそうになる声を、両手で押さえながら必死に我慢していると、 「……気持ち良くない?」 ナオくんが悲しそうな目で私の目を覗き込んできた。
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