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人生最悪の日
私――森川 結月(19歳)は現在、一年制の製菓の専門学校生だ。
地元の高校を卒業後、専門学校入学と同時に一人暮らしを始め、その生活費も稼ぐために、放課後は飲食店でのアルバイトにも明け暮れている。
夜遅くまでバイトをして、ヘトヘトになりながら帰宅して家事もして――
正直言って、毎日がかなり忙しい。
だから、
「君、ビッチで噂の森川さんだよね? 今日ちょっと相手してくんない?」
どこの誰だか知らないクズ男の相手をしている暇など皆無なのだ。
「……人違いです」
私はくるりと踵を返し、自宅アパートのある方向とは逆方向に早足で歩き出した。
けれど、男も早足で追いかけてくる。
「えっ? 君、森川 結月だろ!? 俺、君と同じ学校の生徒だよ! 調理師科だからクラスは違うけど!」
……百歩譲って、それが本当のことだとしよう。
ここが放課後すぐの校舎内とかならまだいい。
けれど、こんな時間(21時)にこんな場所(私のバイト先)で私のこと待ち伏せしてんの!?
やだやだホント怖い!
周りの人から“男たらしのクソビッチ”と呼ばれていることは知ってるけど――
私はまだ処女だっつーの!!
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