【 2020年夏 】

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【 2020年夏 】

 その総合病院が、年末・年始の休みに入るということで、私の手術は翌年の1月から3月になった。  実は、長期入院するのは、これで5度目。  このとても大きな総合病院に来ていたのも、そのため。  定期検査のために訪れていた時に、また再発していたんだ。  小説投稿サイトの友達にも、誰にも言っていない事実……。  昨年も3ヶ月入院していたのだが、先生の許可を得て、ノートパソコンを病室に持ち込み、そこから小説を書き続けていた。 「未来ちゃん、パソコンで何してるの?」  病室で先生が私に、そう聞く。 「あっ、実は……、とある小説投稿サイトで、ちょっとだけ小説みたいなものを書いていて……」 「へぇ~、小説書いているの。すごいね。将来は小説家か何かになりたいの?」 「あっ、いいえ……。それは多分ないです……。私は先生と同じお仕事をしたいなって……」  私は照れながら、やさしく微笑む先生を見上げた。  その時、病室の大きな窓からは、夏の眩しい日差しがベッドの足元まで届き、外からは蝉の鳴く歌が(せわ)しなく聞こえて来ていた。
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