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追想
帰宅してからもソファでボーッとしていた。いつものように子コアラは私の肩に顎を乗せて、いつものようにピッタリくっついている。
「あ!明日私、友達の結婚式だった。」
「は?そんな大事なこと忘れんなって。」
「早く寝ろ。朝、髪セットしてやっから。」
「うん。ありがと。今日は、私が怜の上で寝たい。」
「いいよ。おいで。」
怜の上に乗り、胸に頭を載せて私は再び眠りに落ちた。
次の日、怜は私の髪を編み込みし、パールの飾りを付けて素敵に仕上げてくれた。
「よし!いいよ!」
「ありがと。行ってくるね。」
不意に抱きしめられた。
「ちゃんと帰って来いよ。待ってるから。」
「どうしたの?」
「あ…やっぱり迎えに行く。終わったら連絡して。」
「うん。わかった。んじゃ、行ってきます。」
「行ってらっしゃい。」
友達の幸せを沢山分けてもらえた結婚式だった。二次会に参加することなく、会場を出た。怜に連絡してって言われたけど、寄りたい所があったので連絡せずに歩いた。
ドクンッ
「また、来ちゃった。」
電車が通る度に…あの日の事を思い出す…手を離さなかったら…省吾の気持ちにもっと早くに気づいてあげられていれば…
<あの夜私を突き飛ばして、このバーをくぐった時の省吾の気持ち、知りたかったな…。>
「ごめんね…。」
急に腕を引っ張られて、いつもの匂いに包まれた。
「1人で泣くなって言ったよな?」
「なんでココがわかったの?」
「お前のことなら全部わかる。」
「怜…。」
「ん?」
「もう大丈夫だよ…私…。」
「うん…帰ろう。」
私が安心する言葉をいつも怜は言ってくれる。
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