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診察は特に大きな異常もなくすぐに終わった。
「翔。あなた、明後日もっと詳しい検査して異常がなかったら退院ですって。良かったわね。入学式間に合いそうで」
「入学式?高校の?」
「そうよ。私立朝日山高校。頑張って勉強してたじゃない」
朝日山高校…。俺が行く予定だったとこだ。
てことは、カズにもまた会えたりすんのかな。
「卒業式は出る?もし無理そうだったら休んでもいいわよ」
「いや、出るよ」
「そう。じゃあ、お母さん帰るわね。また明日来るから」
そう言って俺の母親(仮)は病室を出ていく。
俺は少し落ち着いた頭で周りを見渡す。
俺の部屋は個室で広すぎるくらいの部屋だった。
ベッド横のテーブルには、見舞い品であろう果物と手紙、寄せ書きなんかも沢山置いてある。
──────人気者だったんかな。
「『佐々木翔』ってどんな奴だったんだろ」
この体の持ち主であろう佐々木は、寄せ書きを見るに良い奴でいろんなやつから好かれているっぽい。
親の服がいい物だったし、お金持ってる家の子供か?
ぐるぐるといろんなことを考えても、分からないことは分からない。
「そういえば、俺どんな見た目してんだろ」
思春期の男子としては、仮とはいえ、自分の見た目は気になって、近くに置いてあったスマホで見てみる。
「おお、美少年…」
そこには白い肌に大きな目、サラサラの髪を持ったイケメンがいた。
元の俺とは似ても似つかないな。
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