第1章 俺が俺じゃない

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「今日から1年間、君たちの担任を務めます」 まばらな拍手が起こり、担任が軽く頭を下げる。 「じゃあ、これから君たちにも自己紹介をしてもらいます。名前と一言、よろしく」 担任にそう促され、出席番号1番の人が話し始める。 それをぼーっと聞いていると、俺の前の人が立ち上がった。 「佐伯一真。よろしくお願いします」 え?さえきかずま…? 知ってる。聞いたことがある。 声も似てた。 カズ。だよな。 「おーい。次、早くしろ」 「あっ!すみません!佐々木翔です。よろしくお願いします!」 先生に注意されたが、正直自己紹介なんてしてる場合じゃない。 …カズに会えた。 もしかしたら、とは思ったけどこんなに早く会えるとは思ってなかった。 早く話しかけたい。 胸の高鳴りが抑えられない。 ドキドキして、止まらない。 早くこの時間が終われと、残りの時間ずっと思っていた。 なんて話しかけよう。 佐々木翔としては初めてだから、初めましてかな。 それとも、俺が松浦勝だって言う? でも、信じてもらえないか。 とりあえず、声かけよう! 早くチャイム鳴れ! そう強く願っていたら、ちょうどチャイムが鳴った。 今日はこのまま帰れるらしい。 俺は先生が出ていってすぐにカズに声をかけた。
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