第1章 俺が俺じゃない

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「行ってきます」 高校生活2日目。 俺は余裕もって家を出て始業30分前に学校に着いた。 教室にはほぼ人は居なく話す人もいないので自席で座っているだけになってしまった。 つまんない。 ボーッと何も書いていない黒板を見つめていると突然視界が塞がれた。 「おはよ。佐伯」 「…おはよ」 原因であるカズに挨拶。笑顔で。 印象良くするの大事。 俺はまだカズのことが好きだし、近くにいたい。 その後の俺は徹底的にカズに付きまとった。 移動教室から昼休み、帰りまでとりあえず話しかけた。 そんな生活を1週間ほど続けていたらカズも少し心を開いてくれたみたいで俺たちは一緒にいるのが当たり前になった。 「お前って俺の友達に似てる」 「友達?」 「そう。幼なじみ。なんかバカっぽいとことかうるさいとことか激似」 そう言って笑うカズに嬉しくなる。 俺の事忘れてなくて良かった。 「へぇ〜。会ってみたいかも」 「…いつかきっとな」 カズの顔から笑顔は消えていて、不安になる。 もしかして俺、死んでたりする? そんなことは無いと思うけど、……無いよな?
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