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「佐伯!今日帰りどっか寄ってかない?」
いつも通り放課後にカズに声をかける。
「ごめん。今日用事あるから」
いつもなら断らないのに今日はこっちを見ずにそう言ってすぐに教室を出て行ってしまったしまった。
何かある…。
どうしても気になってしまった俺はバレないようにカズを追いかけた。
良くないことをしてるのはわかってるけど、どこ行くかだけ知れたらすぐ帰るから!!!
そう自分に言い聞かせ、こそこそとしているうちに着いたのは病院だった。
ここ、松浦勝だった時の家の近くだ。
もしかして俺が、俺の体がいるかもしれない。
カズが入っていった病室のドアを少し開けて誰も通らないことを願いながら中を覗く。
カーテンで遮られてあまり中は見えない。
だけど、カズの言葉で俺が今どんな状況なのかはわかった。
「なあ、勝。お前、まだ起きないの。いつまで寝てんの。早く一緒に学校行こうぜ。待ちくたびれたんだけど」
カズに対する返答は無い。
規則的な電子音が静かになった病室に響く。
俺、まだ眠ったままなのか?
精神が佐々木翔の体にあるから?
「もう行くな。次来る時には話そうな」
やばい。カズが出てくる。
そう思った時にはもう遅くドアが開いた。
「…何でここにいんの?」
「あ〜、ははは…。ごめん」
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