お正月①

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お正月①

我が家のいつもの年末年始は、義父が年越しそばを打って、夫が麺が短いとかなんとか文句言いながらもみんなで食べて、子どもたちはいつもどおり8時に就寝 夫はテレビを見ながら年越しカウントダウンが始まると台所でおせち料理を作る私に「そろそろ年越すよ」と教えてくれる 私は台所から茶の間に移動して年越し 2人で日本酒を傾けながら「今年もよろしく」と挨拶をすると、私はまたおせち料理を作る そんな恒例行事も今年から変わってしまった 今年は当然おせち料理を作らない おせち料理には新年を祝う気持ちが多分に含まれているから おせち料理が大好きな私だけど、おせちが食べられなくても全然嫌じゃない あの人と一緒に過ごせないお正月に、あまり魅力を感じない ちなみに夫はおせち料理が嫌いだった 頑張って作った昆布巻きも金柑の甘露煮も水ようかんも豆きんとんも松前漬けもほとんど箸をつけず、買ったかまぼこやハムなどを少しつまむだけ 夫にとって正月は昔から好きなものを食べられない上に(昔は)親戚が大勢集まって酒盛りをする(子供は端に追いやられる)嫌なイベントだったみたい それを私と楽しく過ごせるようになったらいいなと思っていたけど、多分そうはならなかった   自分の力不足を痛感させられる 今年はおせちを作らないと私が宣言したからか、義母が1日に来る夫の兄弟家族の為に大晦日からだし巻き卵を焼いたり、雑煮の汁を作ったり、かまぼこやハムを切ってお皿に並べたりして用意していた(義母としては少ししか作らないからおせちではないと思っている) 私は料理の内容ではなく、おせちを作りながら感じる新年を迎えるワクワク感や、来客を迎える楽しみにを自粛するものだと思っている(というか作る気にもならないのが本音なんだけど) 大切な人を亡くしたのは義母も同じはずなのにどうしてこう違うのかと思ってしまう もてなすのは別におせちじゃなくてもいいのに むしろ私のほうが気にし過ぎなのだろうか……
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