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「あとさ、俺さ、このリレーで一位になったらさ…」
蓮は少しうつむきながら言う。
「加代子に告白しようと思ってるんだよな」
「えっ!!?」
昂太は驚きのあまり絶句する。
「そんなに驚くなよ。知ってただろ?俺がお前の幼なじみの加代子が好きだってことは。お前にだけは言ってあったんだから」
「まあ、そうだけど…」
「ま、中学生にもなって、リレーで勝ったら告白ってのもだせえとは思うけどな。でも、良いきっかけだと思ってな。昂太に勝って、加代子に告白ってのはなかなか絵になるだろ」
蓮は少し自嘲気味に笑いながら言う。
「うん…」
昂太はまだ戸惑った様子で、下を見ている。
「お前もそうしたらどうだ?」
「えっ?」
昂太は思わず蓮の目を見る。
「お前も、一位になったら好きな子に告白しろよ。好きな子いるんだろ?絶対俺には言わねーけど」
「まあ、うん」
「ま、こんなの強制することではないし、なんか俺がやるからお前もやるってのはキモいか。ははっ、いまのは忘れて…」
「やるよ」
昂太は蓮の言葉を遮って言った。
「僕も、明日のリレーで一位になったら、好きな人に告白する」
昂太は、じっと蓮の目を見つめながら、強い口調で言う。
「お、おう…」
蓮は、珍しく迫力のある昂太に少したじろぐ。
「これで、明日は最高の勝負ができそうだな」
すぐに気を取り直した蓮は、昂太に拳を突き出しながら言う。
「うん、負けないよ」
そう言いながら、昂太は蓮と拳を突き合わせた。
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