* ノーブレーキ・ノープラン *

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* ノーブレーキ・ノープラン *

***  いつもの時刻。いつもの車両。  今日も私の視界に先輩が入る。  だけど、きっと。先輩の視界に私は一切入っていない。  その事実が、少し寂しい。  そう自覚した時には、この恋は走り出していた。  気付けば、先輩に声を掛けていた。 「先輩……っ!」 「……え、と?」  怪訝な表情を浮かべつつ、にこやかに応答する先輩は明らかに困惑している。  だけど、先輩以上に私自身が一番戸惑っていた。  だけど、走り続ける。  打算も駆け引きも一切捨てて、心の赴くままに。  嘘も偽りもない本音のトーク。    朝の満員電車の混み具合とは対照的に。  各駅停車の緩慢な動きとは裏腹に。  私の恋は、加速し続けていく。 【Fin.】
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