いつも一緒

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彼と私の家は隣同士で、彼とは赤ちゃんの頃からの幼なじみだ。お互いにひとりっ子だったので、兄妹のように育った。小さい頃は1つ年上の彼を「お兄ちゃん」と呼んで、いつも後ろをついて歩いていた。ちなみにお兄ちゃん呼びはいまだ健在だ。 彼も「お兄ちゃん」と呼ばれて満更でもなかったらしく、「妹」の私をいつも守ってくれた。 小学校で私がいじめっ子に目をつけられた時は、いつも彼が助けに来てくれたし、中学生になった私がストーカーに悩まされた時は、一緒に登下校してくれるようになった。 ちなみに彼は中学で陸上部に入っていたので、私も迷わず入部した。いつも隣で守ってくれる彼に、ほのかな恋心が芽生えたのはその頃だろうか。 高校も一緒に陸上部。毎日の登下校も一緒。 よくどちらかの家で一緒に夕食を食べたり、試験勉強したりもしていた。イケメンに成長した彼はかなりモテていたけれど、私は妹キャラを利用して可能な限り彼の隣をキープしていた。 常に一緒にいた私達は、周りからは付き合っているように見えただろうし、正直私もそうだったらどんなにいいだろうと思ってはいた。でもどうしても彼に想いを告げる事ができなかった。 その頃には彼は私の全てになっていたけれど、彼の方は私を「妹」だと思っているからこそ優しくしてくれるのだ。この関係を壊して「お兄ちゃん」を失ってしまうことが何より怖かった。
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