いつも一緒

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そんな不安定で、でも少し甘酸っぱい日々は突然終わりを告げた。 それは私が高校1年生、彼が2年生の夏だった。私との下校中に、彼は意識を失って倒れたのだ。 私は突然の事でパニックになり、横たわる彼に縋りついて声をかける事しかできなかった。 その後の記憶は曖昧なのだけれど、通行人の誰かが救急車を呼んでくれたらしく、どうやら私も彼に付き添って救急車に乗ったらしい。 気がつくと病院の待ち合い室にいて、しばらくすると青い顔をしてした彼の両親が駆け込んできたところまでは憶えている。 その後はまた記憶がすっぽり抜けていて、次の記憶は彼の両親の車の中だった。 彼は重い病気で余命1年と宣告された。臓器移植をすれば助かるかもしれないけれど、日本では移植手術自体が少なく、望みは薄いらしい。 病院からの帰りの車の中で、そう泣きながら私に話してくれた彼のお母さんの横顔を見つめながら、私は「この夢っていつ覚めるんだろ…?」とぼんやり考えていた。 でも私は悪夢から目覚めることはできなかった。 健康的な、いわゆる細マッチョだった彼が日に日にやせ細っていく姿を見ていたら、次第に実感が湧いてきたのだ。 これは夢ではないのだと、この悪夢は現実なんだと。 そう認めてしまうと、彼が倒れた日から全く出なかった涙が止まらなくなり、一晩中泣いて、泣いて、泣き明かして…そこで私は気持ちを切り替えた。彼に残された時間が僅かなら、私はできる限り彼のそばにいたい。そして彼の最期を見届けたら、私もあとに続こう。彼は優しいから、少しぐらい私が遅れて逝ってもきっと待っててくれるし、そうすれば私達は永遠に一緒にいられるから。
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