ディアホワイトレーンディア

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“いつかそう遠くない未来には、サンタさんも宇宙にまで行ってプレゼントを配らなきゃいけないね。”  数年前に私の書いたほとんど意味をなさない冗談に、君からDMで反応が返ってきたときには、何かの冗談かと思ってしまった。 “もうサンタさんはここに来ているよ。トナカイもいっしょに。真っ白なトナカイだけどね。”  まだ火星への移民は不可能だと報道されていたけれど、そのとき私は君が極秘の任務についていることを知った。今まで地球上のそれだと思っていた“世界の果て”は、私の想像よりもはるか遠くの星のそれだったって。  私は、はあっと生ぬるく白い煙を吐いた。君との間のだだっ(ぴろ)い空間は想像以上に白の余白だったんだ。そののり(しろ)にのりを塗りたくるには、地球中ののりを集めてもまだまだ足りない。そして残念なことに、私の道具箱に入っているのは相変わらず白い絵の具だけなんだ。
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