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私さ…その日曜日って、試合なんよ…。
お父さんもお母さんも応援に来るのよ毎回。
えー!お姉だけズルいズルいズルい-、慎二郎おじさんとデートやん。
んだよー!あんでだよー!!神様ひでーよ!誰か慰めろよ、こんなに可愛いのに可哀想な私をよー。全力で甘やかせよ誰かマジよぅ~。
結局一日中復活できず、土曜日の今日を泥のように過ごした。
男子どもにどーやって思い知らせようか、格闘術って1日じゃマスターできんかな。
なんてことをず~~~っと考えてた。
でもだめだ、もーわかんないわかんない。限界、お姉に癒してもらう。
そう思って隣の見慣れた部屋に入ると、そこはまるでファッションショーの舞台裏だった。
およそ持ってる全ての服を引っ張り出してきて、鏡の前で次々と身体に合わせるお姉。
着ては脱いで、上下を組み換えてみたり。鼻歌まじりにスッゴい楽しそう…いいなー。
あれ?お姉の顔が、なんか…いつも以上に可愛い気がする。
その時、私の中に眠ってた女のカンが目を覚ました。
「恋する乙女だ…。」
「あ!すずなすずなすずな!いいとこに。」
…おぉ…これが噂の勝負下着ってやつか…。
私は知ってる、お姉って表面だけを着飾るような真似はしない人。特にここ一番の勝負では絶対妥協しない、徹底する、そんな意思のすごく強い人だってことを。
お姉の強さは、格闘術だけじゃない。
「これとこれ、どっちが良いかな?こっちだとおかしいかな?可愛い系が良いかな、キレイ系かな?も~わかんないわかんない~!」
グダグダやん、私のお姉どこいったん?はよ帰ってきて。
それにしても…。
「お姉が好きな人って、慎二郎おじさんだったんだ。でも悪いけど、絶対無理やん?」
浮気で歳の差でとどめに親戚って、思い付くだけでも壁が異次元の高さだよ。
それに万が一、慎二郎おじさんがコレOKなんかしたら、お父さん自分の部隊を動かして弟を抹殺すんじゃないか?
「そうよね、変だよね私。自分でもわかってるよ。」
少し照れながら、でも迷いの無い笑顔で、私をまっすぐに見るお姉。本当に嬉しそう。
「だって、でも…。」
言葉をつなげない私に、いつもの柔らかい声で、話してくれた。
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