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まだイケメンだった頃のお父さんと、今と変わらず元気で明るいお母さんの間に、念願の赤ちゃんが生まれたのは20年前。
二人はすごくすごく喜んで、娘をものすご~く可愛がった。
そして娘が3歳になった頃、将来の事を心配し始めたお父さん。こんな可愛い娘なんだから、いつか悪い男にだまされたり、誘拐だってされるかもしれない!とか思ったらしい。
そこで、娘が自分の身を守れるように護身術を伝授することにした。
お父さんの仕事は自衛官、しかも今では隊長を任される程の凄腕?らしい。
そんなお父さんが娘に教えたのは、護身術どころか…自衛隊の格闘術。
戦場で弾が無くなった状態で敵と遭遇してしまった時に使う技術!コイツはスゴイぜ。
て、おい!戦争で使う格闘術ってアンタ、女の子に何教えてくれてんの?!
お母さんも止めれば良いのに、むしろ暖かく見守ってたみたいで…。
そして娘は、お父さん譲りの運動神経と、お母さん譲りの素直さを持つ、とっても良い子だった…とさ。
高校生にして現役の自衛官にも劣らぬ腕前になったお姉、自分だけでなく可愛い妹だって護れちゃう。だから私は教えてもらう必要がなかった。
厄介な事にお父さん、指導者としても優秀だったのね。
でも習い事って訳じゃないから同級生に知られる事もなく、お姉も自分から話す人じゃないから、家族以外誰にも知られてない特技だった。
あと、お姉は昔から素敵だった、稽古してる時も凛々しくてカッコ良かった。
まだ小学生だった私は、いつも男子に囲まれてる高校生のお姉が、すっごく誇らしかったのを覚えてる。
でもさ、その特技をまさか本当に使う日が来るとは、誰も予想してなかった。
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