コロナになった

1/1
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ

コロナになった

 今年の1月にコロナになった。「今?」というのが正直な感想だった。コロナウイルスによって私たちの生活が変わったのは約4年前。昨年になってようやく色々なものが緩和され、日常がほぼ戻っていると思う。  4年の間、私は一度もコロナにならなかった。「私はコロナにならないのかな」とのんきに考えてしまっていた。  自室に隔離され、寝ながら考えていたことは「どこで感染したのだろう?」ということだ。一緒に住んでいる母はあまり外に出ない。祖母もデイケアに行っているが、感染した様子はない(その後、母は私から感染するが、祖母は無事だった)。  行動を思い返してみても、外で誰かと濃厚接触はした覚えはないし、手洗いもしていた。マスクはしたりしなかったりだったが、それだけが原因ではないだろう。今までコロナに感染した人々も同じような思いだったのではないだろうか。  もし、私が3~4年前に感染していたら、今の状況とは異なっていただろう。今回は診て頂いたお医者さんが明るい口調で「コロナです」と告げてくれたので、だいぶ、気持ちが楽になった。  コロナが治り、ボランティア団体のミーティングに参加した時に年末にコロナになったという人がいた。その人は、2週間程、熱が下がらなかったそうだ。私は2日で熱が下がったので症状は人によって様々なのだ。ニュース等で知識はあるつもりだったが、それを実感することができた。  コロナを経験してわかったことは、自分基準で物事を考えてはいけないということだ。私は熱も早く下がり、味覚障害も1~2週間程度で治った。しかし、コロナの後遺症が続いている人もいる。  人は他人の身体にはなれない。「私が○○だったから大丈夫だよ」という言葉に傷つく人もいるだろう。  そして、気を付けていても病気に感染することはある。コロナの流行当時、感染した人を責める風潮が一部ではあった。そんなことはあってはならないし、コロナが落ち着いた今だからこそ、その問題を考えていくべきだと思う。 「コロナはたいしたことない」「コロナはきつかった」。どちらも間違いではない。だから、それぞれの立場を尊重する気持ちが大切なのだ。  そんなことをだらだらとスマホを見ながら考えていた。今年はスマホを見るのを控えたいという目標をたてたのにだ。その目標を阻害したコロナを(コロナのせいだけではないが…)恨んでいる。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!