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隠れ家に戻ると、セリーナと少女が待っていた。
セリーナは少女に置いてあった本物の金貨がぎっしり入った袋を渡した。
「家まで送っていく」
その間に、右手の手袋を新しいものに換えたヴィアザが言った。
「ありがとう!」
貧困街の一角に、兄妹が住んでいる粗末なテントがあった。その前には以前顔を出した少年がいた。
「お兄ちゃん!」
「レレ! 無事だったんだね!」
「その袋は、お前達が生きるために、使え」
「え……? これ、返したはず……?」
中身を見た少年が首をかしげた。
「ろくでもない賭けなんか、するなよ?」
「しない! でも、どうして?」
「貴族の目を、誤魔化したのさ」
ヴィアザは薄く笑みを浮かべた。
「ありがとう! それと、これ!」
「?」
ヴィアザは金貨五枚を差し出してきた少年を見て、首をかしげた。
「助けてくれた、お礼! 噂話は最後まで知ってるから」
「分かった。達者で暮らせよ」
ヴィアザが金貨を受け取って歩き出すと、二人の兄妹は、ぺこりと頭を下げた。
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