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第五章 ヴィアザの答え
二人肩を並べて隠れ家に戻った。
「早く休まないと」
「そのつもりだから、心配するな」
ヴィアザは苦笑した。
「あなたの戦い方には、驚いたわ。痛みだってあるはずなのに、全然顔に出さないし」
セリーナが言った。
「俺にとっては大した痛みじゃない」
ヴィアザは苦笑した。
「あれだけ怪我をしておいて、説得力ないわよ?」
「そうかもしれないな。帰って休め。少し、時間をもらうぞ」
「ええ。夜になったら、きてもいいかしら?」
「依頼がなければな」
隠れ家の前で、そんなやり取りをした二人は別れた。
ヴィアザは日の光が入ってこないところで、刀を右肩に抱きかかえ、壁に寄りかかっていた。
――セリーナと手を組むと決めたはいいが。生まれなんかも聞き出してみるか。
そう思うと目を閉じた。
セリーナは貧困街の一角、少し大きめのテントの前で止まった。
布をめくって中に入った。
ここで、セリーナは寝泊まりをしている。
粗末なベッドに座ると欠伸をした。
昼夜逆転の生活に慣れているが、いろいろありすぎた。
右手でリヴォルバーのグリップをつかんだまま、目を閉じた。
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