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その日の夜。
ヴィアザは一人、木でできた杯でワインを呑みながら、煙管を燻らせていた。
ドアを叩く音が聞こえてきた。
「開いているぞ」
入ってきたのは、セリーナだった。
「今日は、依頼がなかったみたいね?」
「ああ。とりあえず座れよ」
「それで、あの話は考えてくれた?」
セリーナが座るとそう尋ねた。
「ああ。いいだろう。その申し出、受けるよ」
「よかった。でも、どうして?」
「お前は自分を守れるだけの力を身に着けている。それに、俺との戦い方も違うしな」
「そう」
「……条件と言うわけではないが、知りたいことがある」
ヴィアザは紫煙を吐き出して言った。
「なに?」
「お前のことだよ。少しは話してくれないか?」
「それもそうね。いいわよ、長くなるけれど」
セリーナはうなずきながら言った。
「構わない」
ヴィアザは杯に入ったワインを呑み干して、空のそれをテーブルに置き、煙管を口に含ませながら言った。
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