第六章 セリーナの見た地獄

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 そのころ、セリーナは拠点に戻ると、ベッドに寝っ転がった。  単純に、疲れた。  セリーナは寝返りを打った。  ヴィアザの戦い方は、自分が痛みを背負ってでも、相手を殺すことだった。  痛みがなければ殺してはならないのではないか、とすら思えてしまう。  なぜ、そこまで、自分に残酷になれるのか、今のセリーナにはまったく分からなかった。  怪我をしても痛そうな顔ひとつしなければ、弱音も言わない。すべてを隠されてしまったような気がする。なぜだろう、そんな状態なのに、一人にしてはおけないというか、放っておけなかった。あんなに美しい顔の裏になにを隠しているのか、気になって仕方がない。どうしてそう思うのか、分からなかった。考えるのは諦めて、目を閉じた。
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