第七章 貴族の娘

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 同日の夜。 「今夜は、フィーナス家を潰す」  隠れ家を訪れたセリーナに、そう告げた。 「依頼人は貴族?」 「ああ。どこの家かは知らんが。前金として金貨十枚を受け取った。お前にも……」 「お金なら要らない」  セリーナはその言葉を遮った。 「なぜ?」  ヴィアザは首をかしげた。 「昼間の暗殺をいくつか頼まれているのよ。法外なお金は受け取っているし、生活に困っているわけでもないから」 「俺も金に困っているわけではないのだが、とりあえず、もらっておく」  ヴィアザは言いながら金貨十枚を手にすると、棚の前へ。  セリーナが見守る中、棚に取りつけられた取っ手をつかんで、引き開けた。 「見た目を変えているが」  ヴィアザは言いながら、金貨十枚を放り込むと、身体を退けた。 「えっ!?」  セリーナは思わず声を上げた。棚だとばかり思っていたが、実は金庫だった。中には大量のコインが収められている。 「俺はこうして管理しているが、お前は?」  金庫の戸を閉めながら、ヴィアザが尋ねた。 「あたしは、一般街の銀行の特殊口座よ」 「ふむ。さて、フィーナス家に向かうとするか」  セリーナはうなずいて、追い駆けた。
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