14人が本棚に入れています
本棚に追加
同日の夜。
「今夜は、フィーナス家を潰す」
隠れ家を訪れたセリーナに、そう告げた。
「依頼人は貴族?」
「ああ。どこの家かは知らんが。前金として金貨十枚を受け取った。お前にも……」
「お金なら要らない」
セリーナはその言葉を遮った。
「なぜ?」
ヴィアザは首をかしげた。
「昼間の暗殺をいくつか頼まれているのよ。法外なお金は受け取っているし、生活に困っているわけでもないから」
「俺も金に困っているわけではないのだが、とりあえず、もらっておく」
ヴィアザは言いながら金貨十枚を手にすると、棚の前へ。
セリーナが見守る中、棚に取りつけられた取っ手をつかんで、引き開けた。
「見た目を変えているが」
ヴィアザは言いながら、金貨十枚を放り込むと、身体を退けた。
「えっ!?」
セリーナは思わず声を上げた。棚だとばかり思っていたが、実は金庫だった。中には大量のコインが収められている。
「俺はこうして管理しているが、お前は?」
金庫の戸を閉めながら、ヴィアザが尋ねた。
「あたしは、一般街の銀行の特殊口座よ」
「ふむ。さて、フィーナス家に向かうとするか」
セリーナはうなずいて、追い駆けた。
最初のコメントを投稿しよう!