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第九章 仇
ある日の夜。セッリー家について調べたヴィアザは、いったん隠れ家に戻った。
知らぬ人間がいなかったことから、依頼はないのだろうと思った。
刀を手元に置きつつ、ワインを引っ張り出して呑み始めた。
「邪魔しちゃった?」
セリーナがドアを開けながら声を出した。
「まさか」
ヴィアザは杯を煽りながら、うっすらと笑みを浮かべた。
「それで、セッリー家のこと、なにか分かった?」
セリーナが座りながら尋ねた。
「ああ。今じゃ、貴族の中で五本の指に入るほど、強い影響力を持った家に成長している。独りでは、いかせないぞ。主の命はお前の好きにすればいい。俺は、復讐ができるように、道を作る。雑魚相手に弾なんぞ使うな。無駄にしかならん」
「いつもと逆、ってことね?」
ヴィアザはワインを杯に注ぎながら、うなずいた。
「いつ、いくの?」
「明日の夜。金は要らない。……復讐が無事にできたら、自分がなにをしたいのか、考えておけ。それと、終わった後でいい。俺の話も聞いてくれ」
ヴィアザは真面目な顔をして言った。
「ええ」
セリーナはふっと笑うと、隠れ家を去った。
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