第九章 仇

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 決行日当日の夜。  隠れ家にセリーナが顔を出すと、ヴィアザとともに、セッリー家へ。  貴族の中で、五本の指に入るというだけある。屋敷がかなり大きい。 「雑魚は全員、俺が引き受ける。屋敷の最奥まで一気に走れ。いいな?」  セリーナはその言葉にうなずいた。 「では、始めるとしよう」  正面の門番を殺すと、ヴィアザは扉を蹴り開けた。  セリーナは一階の窓ガラスを割って、屋敷内へ侵入した。  入り口に向かう男達をやりすごし、廊下へ出た。  階段を駆け上がり、一番奥の部屋の扉を蹴り開けた。 「なに用かな?」  そこには剣を手にした男達五人と、一人の老人がいた。老人の方は杖をついている。 「セッリー家の当主は、誰?」  セリーナは憎しみをあらわに尋ねた。 「わしがそうじゃ。恨みでも買ったかの?」  ほほほと、老人が笑った。 「あなたに聞きたいのはひとつだけ。貧困街に生きる人達のことを、なんだと思っているの?」  笑っている老人を睨みつけて尋ねた。 「なにを言うかと思えば。貴族のわしらからすれば、小石くらいにしか思わんよ。死んでも誰も気にしないからの」 「あんたねぇ……! 命をなんとも思っていない、クズに会うことになるとは思わなかったわ!」  セリーナは怒りを爆発させた。 「なんと言ったかの? 耳が遠くてなぁ……」 「ふざけないでくれる? クズと言ったのよ! あんたなんか、生きる資格がない、そう言っているの!」  セリーナは言いながら、右手にリヴォルバーを構え、銃口を老人に向けた。 「貴族のわしを、クズとのたまうか。殺してしまえ」  周りにいる男達がいっせいに襲い掛かってきた。  左手にリヴォルバーを構えようとしたその瞬間――。
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