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決行日当日の夜。
隠れ家にセリーナが顔を出すと、ヴィアザとともに、セッリー家へ。
貴族の中で、五本の指に入るというだけある。屋敷がかなり大きい。
「雑魚は全員、俺が引き受ける。屋敷の最奥まで一気に走れ。いいな?」
セリーナはその言葉にうなずいた。
「では、始めるとしよう」
正面の門番を殺すと、ヴィアザは扉を蹴り開けた。
セリーナは一階の窓ガラスを割って、屋敷内へ侵入した。
入り口に向かう男達をやりすごし、廊下へ出た。
階段を駆け上がり、一番奥の部屋の扉を蹴り開けた。
「なに用かな?」
そこには剣を手にした男達五人と、一人の老人がいた。老人の方は杖をついている。
「セッリー家の当主は、誰?」
セリーナは憎しみをあらわに尋ねた。
「わしがそうじゃ。恨みでも買ったかの?」
ほほほと、老人が笑った。
「あなたに聞きたいのはひとつだけ。貧困街に生きる人達のことを、なんだと思っているの?」
笑っている老人を睨みつけて尋ねた。
「なにを言うかと思えば。貴族のわしらからすれば、小石くらいにしか思わんよ。死んでも誰も気にしないからの」
「あんたねぇ……! 命をなんとも思っていない、クズに会うことになるとは思わなかったわ!」
セリーナは怒りを爆発させた。
「なんと言ったかの? 耳が遠くてなぁ……」
「ふざけないでくれる? クズと言ったのよ! あんたなんか、生きる資格がない、そう言っているの!」
セリーナは言いながら、右手にリヴォルバーを構え、銃口を老人に向けた。
「貴族のわしを、クズとのたまうか。殺してしまえ」
周りにいる男達がいっせいに襲い掛かってきた。
左手にリヴォルバーを構えようとしたその瞬間――。
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