第九章 仇

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「くそおおおっ! お前らじゃ話にならん!」  ここでようやく、声の主が姿を見せた。 「出てくるの、早くないか?」  ヴィアザは思わず口を挟んだ。 「これだけ用意した男達が、大量に殺されたんだ! 出ずにはいられんってもんだよ。だが、無傷じゃないだけでもよしとするか。こっちの痛手は変わんねぇが」 「勝手に言っていろ。俺は忙しいんだ」 「時間稼ぎに付き合ってやっている、という風に聞こえるが?」 「だから、その通りだと言っているだろう」 「舐めるなよ……!」 「言っておくが、油断しているわけではないからな。勘違い、してくれるなよ?」  ヴィアザは冷たい笑みを浮かべながら言った。 「全員でかかれ! 生死は問わん!」 「一人だからって、舐めてかかるなよ」  ヴィアザは怒りを込めて言い放つと、刀を構えた。  距離を詰めてくる男達の頸動脈を精確に斬りつけていく。  十回ほど斬撃を放つと、その数と同じ骸がバタバタと倒れ出す。 「命を奪うなど、とても容易いんだよ。俺にとってはな」 「黙れ黙れ!」 「貴様が黙れ」  ヴィアザは言い放つと、ゆらりと動き出した。  次々に繰り出される男達の攻撃を躱し、頸動脈を斬るか、頭蓋骨を刺しながら、叫んだ男との距離を詰めていく。 「なんて奴だ……!」 「残るは貴様一人だぞ」 「望みはなんだ?」 「貴様の命、だよ」  怯えきった男の声を聞いて、ヴィアザは口端を吊り上げて嗤った。  心臓を刺し貫くと、無造作に刀を抜いて骸を捨てた。 「ふう」  ヴィアザは骸が折り重なる、地獄と化したエントランスホールを一瞥すると、屋敷の最奥に向かって駆け出した。
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