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「くそおおおっ! お前らじゃ話にならん!」
ここでようやく、声の主が姿を見せた。
「出てくるの、早くないか?」
ヴィアザは思わず口を挟んだ。
「これだけ用意した男達が、大量に殺されたんだ! 出ずにはいられんってもんだよ。だが、無傷じゃないだけでもよしとするか。こっちの痛手は変わんねぇが」
「勝手に言っていろ。俺は忙しいんだ」
「時間稼ぎに付き合ってやっている、という風に聞こえるが?」
「だから、その通りだと言っているだろう」
「舐めるなよ……!」
「言っておくが、油断しているわけではないからな。勘違い、してくれるなよ?」
ヴィアザは冷たい笑みを浮かべながら言った。
「全員でかかれ! 生死は問わん!」
「一人だからって、舐めてかかるなよ」
ヴィアザは怒りを込めて言い放つと、刀を構えた。
距離を詰めてくる男達の頸動脈を精確に斬りつけていく。
十回ほど斬撃を放つと、その数と同じ骸がバタバタと倒れ出す。
「命を奪うなど、とても容易いんだよ。俺にとってはな」
「黙れ黙れ!」
「貴様が黙れ」
ヴィアザは言い放つと、ゆらりと動き出した。
次々に繰り出される男達の攻撃を躱し、頸動脈を斬るか、頭蓋骨を刺しながら、叫んだ男との距離を詰めていく。
「なんて奴だ……!」
「残るは貴様一人だぞ」
「望みはなんだ?」
「貴様の命、だよ」
怯えきった男の声を聞いて、ヴィアザは口端を吊り上げて嗤った。
心臓を刺し貫くと、無造作に刀を抜いて骸を捨てた。
「ふう」
ヴィアザは骸が折り重なる、地獄と化したエントランスホールを一瞥すると、屋敷の最奥に向かって駆け出した。
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