第九章 仇

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 がきんっと武器同士がぶつかり合って火花を散らした。 「まだ雑魚がいたのか」  ヴィアザはふたつの剣を刀で受け止め、右手で三本目の剣を受け止めていた。右掌は刺し貫かれている。  ぽたぽたと鮮血が滴り落ちる。 「表で騒ぎを起こしていた奴かの?」  のほほんと、老人が尋ねた。 「ああ、そうだ。大したことはなかったが」  ヴィアザは二人の剣を弾き返し、首を切断した。  刀を床に突き刺し、右手を刺し貫いている剣をすっと抜くと、怯える男の額に突き刺した。  向きを変え逃げようとした男の首を刺し貫いて、剣をぽいっと捨てた。 「お逃げください!」 「それはわしが最も嫌うことじゃ! お主になど守られとうないわ!」  最後の一人だった男の心臓を杖で刺し貫いた。 「わしがいる限り、何度だって立て直せるんじゃ!」 「呆れた。人間がたった独りで、なにができるというのよ?」 「なにっ!」  老人が噛みついた。 「あんたは全部自分のものだと思ってない? 金も、地位も、人も、すべて自分の自由にできるって」 「だったらなんだ!」 「自惚(うぬぼ)れるのもいい加減にして! あんたの横暴のせいで、どれだけの命が無くなったと思っているの! 命の重さが分からない奴なんてね、クズなのよ!」  セリーナは叫んだ。
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