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「貴族のわしをそこまで愚弄するか!」
「あんたは憶えていないでしょうが、あたしは忘れられない思い出として、記憶に刻まれてる。まだ無力だったあたしを守ってくれた、両親の最期を。あんたを殺すことだけを考え、すべてを捧げてきた。少しでも、あんたを殺せる立ち位置になるために、なんだってやってきた!」
セリーナは怒りを爆発させた。
「復讐者、というわけか。ふん、馬鹿馬鹿しい」
「貴様はまだ知らないようだな。言葉だけでも立派な凶器だということを」
ヴィアザが口を挟んだ。
「なんじゃと?」
「言葉というものは、心を抉るナイフのようなものだ。その鋭さを理解していない者が簡単に、他人の心を傷つけていいはずがない。痛みが分からない。そして、敗北を知らないから、貴様は暴走した。なんでもできると思って酔いしれた」
「くっ……!」
老人は唇を噛んだ。言われたことに反論ができない。
「そんな奴には、すべてを失って当然なのよ。罰は受けないと、ね?」
にこりと笑みを見せたセリーナだが、目が据わっている。
老人は無言で、杖を剣のように扱い、襲い掛かってきた。
左手に持っていたリヴォルバーを仕舞って空けると、杖を握って動きを封じた。
右手に構えたリヴォルバーで、腹を撃ち抜いた。
「ぐっ!」
老人は杖から手を離し、拳を右足に打ち込んできた。
それを受けてしまったセリーナは、痛みに顔をしかめつつも、右腕を撃ち抜いた。
弾がめり込み、鮮血が腕を伝った。
「おのれ……!」
老人は怒りをあらわにするが、満足に動けていない。
思った以上に、殴られた右足が痛み、左膝をついたセリーナは、銃口を老人に向けた。
「わしはこんなところで、終わらんぞ!」
はったりだと気づいたセリーナは、狙いを定めた。
躊躇わずに、最後の一発を撃ち込んだ。
それは老人の心臓を撃ち抜いた。
セリーナの長きに渡る復讐は、ようやく終わりを迎えた。
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