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「終わったな、お疲れさん」
一部始終を見ていたヴィアザが言った。
「ええ。……ちょっと!?」
「その足じゃ、歩けないだろう?」
ヴィアザは断りもなく、突然というよりかは、かなり自然にセリーナをお姫様抱っこした。
「そうだけど……!」
「じっとしていろ」
「あなただって怪我をしているのに!」
セリーナは顔を赤くしながら言った。
「よく見ているな」
ヴィアザは、流石にお前の目が誤魔化せんか、と呟いて苦笑した。
「ちゃんと分かってるんだからね!」
セリーナはつい口走った。
「歩けるようになるまでの辛抱だ。なに、軽いから心配するな」
セリーナはまた顔を赤くした。
「さてと。騒ぎを聞きつけた連中に絡まれると厄介だ。さっさと出よう」
セリーナは下ろしてもらうのを諦めて、こくんとうなずいた。
ヴィアザは深手だが、気にすることなく、駆け出した。
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