第九章 仇

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「終わったな、お疲れさん」  一部始終を見ていたヴィアザが言った。 「ええ。……ちょっと!?」 「その足じゃ、歩けないだろう?」  ヴィアザは断りもなく、突然というよりかは、かなり自然にセリーナをお姫様抱っこした。 「そうだけど……!」 「じっとしていろ」 「あなただって怪我をしているのに!」  セリーナは顔を赤くしながら言った。 「よく見ているな」  ヴィアザは、流石にお前の目が誤魔化せんか、と呟いて苦笑した。 「ちゃんと分かってるんだからね!」  セリーナはつい口走った。 「歩けるようになるまでの辛抱だ。なに、軽いから心配するな」  セリーナはまた顔を赤くした。 「さてと。騒ぎを聞きつけた連中に絡まれると厄介だ。さっさと出よう」  セリーナは下ろしてもらうのを諦めて、こくんとうなずいた。  ヴィアザは深手だが、気にすることなく、駆け出した。
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