第三章 少年

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「誰だ!?」 「〝漆黒の狼〟」 「〝戦場に輝く閃光〟」 「な、なんで、通り名を持つ者が、二人も……!」 「て、敵だ!」  ざわざわとする中、セリーナが天井に向かって引き金を引いた。一瞬、すべての視線を奪うと、男達が騒ぎ出した。 「もう一人はどこだ!」 「ぎゃああっ!」 「先にいかれたか。ええい! なっ……!」  指示を飛ばそうとしていた男が倒れる。  弾丸は男の心臓を撃ち抜いている。 「逃げるぞ!」  男達は武器を捨てて逃げようと試みる。  しかし、セリーナの放つ弾丸からは逃れられなかった。  精確に男達の心臓を撃ち抜きながら、セリーナは冷たい笑みを浮かべた。  バタバタと、男達が倒れていく。  右、左とリヴォルバーを持ち替えつつ、瞬時に弾込めもしながら、殺戮していく。戦闘が始まって十分が経った。  エントランスには男達の骸が、無造作に転がっている。 「ふう。ちゃんと助けられたのかしらね」  ヒールで肉の残骸を踏み潰しながら、奥へ進んだ。  そのころ、ヴィアザは湧いて出てくる男達を一撃で殺しながら、奥へと駆けていた。  奥の部屋の直前で、一人の男が立ち塞がっているのを見たヴィアザは、舌打ちをした。 「鬱陶(うっとう)しい」  ヴィアザは返り血を浴びても動きを止めず、その男との距離を確実に縮めていく。  男の顔には焦りが浮かぶ。  ヴィアザは最後の雑魚を斬ると、焦っている男を一瞥(いちべつ)した。 「残るは、貴様か。逃がしは、しない」  右頬を返り血が伝い、ヴィアザは口端を吊り上げて嗤った。 「ここから先には、いかせん!」  震え出す身体に活を入れて、男が言い放った。 「止められるものならな」  男は手にしていた槍を繰り出す。それはヴィアザの腹を刺し貫く。  同時に男が顔をしかめた。  ヴィアザの刀が男の右肩を刺し貫いていたからだ。 「なんで、躱さなかった?」 「気まぐれ」 「なん……だと?」  男が痛みに顔をしかめながら、声を出した。
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