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「誰だ!?」
「〝漆黒の狼〟」
「〝戦場に輝く閃光〟」
「な、なんで、通り名を持つ者が、二人も……!」
「て、敵だ!」
ざわざわとする中、セリーナが天井に向かって引き金を引いた。一瞬、すべての視線を奪うと、男達が騒ぎ出した。
「もう一人はどこだ!」
「ぎゃああっ!」
「先にいかれたか。ええい! なっ……!」
指示を飛ばそうとしていた男が倒れる。
弾丸は男の心臓を撃ち抜いている。
「逃げるぞ!」
男達は武器を捨てて逃げようと試みる。
しかし、セリーナの放つ弾丸からは逃れられなかった。
精確に男達の心臓を撃ち抜きながら、セリーナは冷たい笑みを浮かべた。
バタバタと、男達が倒れていく。
右、左とリヴォルバーを持ち替えつつ、瞬時に弾込めもしながら、殺戮していく。戦闘が始まって十分が経った。
エントランスには男達の骸が、無造作に転がっている。
「ふう。ちゃんと助けられたのかしらね」
ヒールで肉の残骸を踏み潰しながら、奥へ進んだ。
そのころ、ヴィアザは湧いて出てくる男達を一撃で殺しながら、奥へと駆けていた。
奥の部屋の直前で、一人の男が立ち塞がっているのを見たヴィアザは、舌打ちをした。
「鬱陶しい」
ヴィアザは返り血を浴びても動きを止めず、その男との距離を確実に縮めていく。
男の顔には焦りが浮かぶ。
ヴィアザは最後の雑魚を斬ると、焦っている男を一瞥した。
「残るは、貴様か。逃がしは、しない」
右頬を返り血が伝い、ヴィアザは口端を吊り上げて嗤った。
「ここから先には、いかせん!」
震え出す身体に活を入れて、男が言い放った。
「止められるものならな」
男は手にしていた槍を繰り出す。それはヴィアザの腹を刺し貫く。
同時に男が顔をしかめた。
ヴィアザの刀が男の右肩を刺し貫いていたからだ。
「なんで、躱さなかった?」
「気まぐれ」
「なん……だと?」
男が痛みに顔をしかめながら、声を出した。
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