第三章 少年

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「俺は無敵じゃない。だからと言って、弱くもないが」  ヴィアザは冷たく言い放つと、傷を抉った。 「ぎゃああっ!」 「人間とは、本当に、地獄や苦痛に弱い生き物だな」  刀を引き抜くと、首を切断した。  どさりと骸が倒れた。  腹に刺さっている槍をつかんで一息で抜いた。 「ふう」  恐ろしいほど冷たい目で、傷を一瞥した。  屋敷の最奥の扉を蹴り開けた。  広い部屋の奥で椅子にふんぞり返っている身なりのいい男が、少女にナイフを向けていた。 「それは困るが、楯のつもりか? 馬鹿馬鹿しい」 「なら……ぐっ!」 「手こずったのか?」  発砲音を聞いたヴィアザは肩越しに後ろを見た。 「数が多かっただけ」  そこには銃口から煙を上げるライフル銃を構えたセリーナがいた。  貴族の男は、脚を撃たれ、痛みに騒ぎ出す。 「血が……! 止まれ、止まれぇ!」  ナイフなどほっぽり出して、溢れ出す血をどう止めたものか、考えているようだが、パニックになっており、いい案が浮かばないようだ。 「こっちだ、こい!」  ヴィアザは少女に視線を投げて、声を張った。  少女は弾かれたようにさっと顔を上げて、こちらへ駆け寄ってきた。 「あの場所へ」  ヴィアザが低い声で告げると、セリーナが少女を連れて、貴族の家を去った。 「さて、殺してやるよ」  痛みに呻いてる貴族に近づこうとしたが、使いの男が立ち塞がった。 「死にたいようだな?」  ヴィアザは嘲笑うと、刀を繰り出した。  男の腹を刺し貫き、刀を引き抜く。鮮血の零れる傷に、強烈な蹴りを叩き込んだ。  男はその勢いの強さに耐えられず、壁に激突し、咳き込んだ。
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