僕はデュラはんと旅に出る。

1/4
22人が本棚に入れています
本棚に追加
/146ページ

僕はデュラはんと旅に出る。

1章:https://estar.jp/novels/25739138 注意:1章の☆特典でデュラハンの首が大量に落下してきたことになっているので、そこからのスタートです。  少し前、僕は教都コラプティオに補えられ、デュラはんに助け出された。  それから僕らはキウィタス村にこっそりと隠れ住んでいる。隠れているといってもその生活は悠々自適。首だけになったデュラはんと、何故だかたくさん落ちてきたデュラハンの首たちと一緒にのんびりと暮らしている。  ……のんびりというには大分騒がしいけれど。  それで今回、僕とデュラはんはカレルギアという国に旅立つことになった。  これまで僕はこの国を離れたことがなかった。でもカレルギアというと思い浮かぶお話が一つだけある。それは悲しいお話。昔々のある王子様の悲しい恋のお話。  僕は子どもの頃に教会でその話を習い覚えたんだ。  今回旅に出ることになった時、その王子の過ごした国はどんな国だったんだろうと思った。かつては緑の、今は黄色と赤のカレルギア。  それで僕らの旅立ちはこんな会話から始まった。 「それでは食事の前に祈りを捧げましょう」 「「「頂きます!」」」  それにしてもみんなは一体何に祈っているんだろう。揃って頂きますというけれど、何に感謝しているのかは本人たちもよくわからないみたい。少なくとも特定の神様ではないらしい。それでいいのかな。変なの。  たくさんの首が並ぶ猟奇的な食卓に、ちょっとずつのパンやスープが並ぶ。それが一斉に浮いたり動いたりしてワイワイガヤガヤとそれぞれの口に飲み込まれていく。知らない人が見ると卒倒しそうな光景だけど、僕らはもうすっかり慣れていた。  一人を除いて。 「何でや! 何で俺だけ食べられへんの! おかしいやん!」 「おかしくないもん~」 「努力しないからですぅ~」 「キー! もう! ボニたんお外! お外行くで!」 「ご飯食べるまで待って」 「もう!」  騒がしい朝ごはん。嫌ならどこか別の部屋で待ってればいいのにと思うのだけど、デュラはんは一人になるのは嫌みたい。
/146ページ

最初のコメントを投稿しよう!