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「流石に無理じゃないかなぁ」
「いーや、絶対行く! 行くんや!」
「それにすっごくお金かかるでしょう?」
「大丈夫。金はあいつらに出させるから」
「あぁ……」
この村は今、物凄くお金を待っていた。
たくさん落ちてきた子たちの意見で、村は色々なものを作った。聞いてみれば理屈はわからなくはないけど、そんな発想のなかったもの。
例えば蝋燭や石鹸に木花から抽出した色味を混ぜて色付きにするとか、蜂蜜や薬草を混ぜて良い香り付きにするとか、それで作った染料で不思議な染物を作るとか。木で挟んだり蝋を塗って模様をつけるとか、誰もそんなことを考えたことはなかったもの。
他にも色々なものが村人と協議しながら準備されてるけど、そういったものを売って村にはとてもお金がある。
そんなこんなで、あれよあれよと言う間に出発の準備が整ってしまった。いつの間にか僕の役目だった養殖池の餌やりも他の村人に引き継がれている。
「ねぇ本当に行くの? 僕はデュラはん運ぶの全然問題ないんだけど?」
「みんなぴょんぴよん飛んでずるいんや。抹茶パフェ食べたいんや!」
「抹茶はまだ目処が立ってないじゃない」
「でもそのうち出来そうな気がするんや。そん時俺だけ食えんとか我慢ならん」
あー。
その抹茶というものを作ったことのある子はいなかったけど、何故だかみんな熱心に研究をしていた。国民性とか言っていたけれど、食べ物のことになると何故あんなに情熱を傾けるんだろう。あの勢いを見ていると、確かになんだかそのうち実現しそうな気がする。
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