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通信機から聞き慣れた観測手の声。指示に従い部下たちは速やかに採掘場の守備配置につく。
ちょうど良く、2つ目の目的がやってきた。
[起動:大剣]
ゴーグルを目深に下ろし、背負う大剣の柄頭に触れれば鞘が分離し落下したゴトリという音する。黄金色に輝く刀身を体前に晒しながら、足早に採掘場から離れる。ようは囮だ。敵が採掘員ではなく私に注意を向けるように派手な得物で立ち回る。
不意に赤い山に乾いた風が吹き付け、僅かに気温が上昇した。
フレイム・ラフィノス。
炎耐性のある翼竜種。
その体温は極めて高温。上昇気流を巻き起こしながら超速で空を舞い、周囲の大気を燃やしながら獲物に襲いかかる。こちらに向かう熱風の先鞭が届き始めた頃、視界に砂つぶのような赤い点が現れた。
左右を見渡し少し小高い丘に陣取る。その頃には視界左前方を大回りに旋回しながら迫り来るラフィノスが大きく翼を広げた。
[展開:防壁]
唐突に風にまざって襲いくる石つぶてと熱波。それ合わせて展開したシールドにガツゴツという無骨な音が響き、それと同時に体を低く地に這わせてラフィノスの最初の突撃をやり過ごす。
ゴォという音を響かせ背中すれすれを巨体が通り過ぎる圧を足を踏み締め腹に力を込めて耐える。ガリと地面に足がめり込んだ。この足を覆うソルレットの補助がなければ私の膝は風圧で砕けていただろう。
頭上を通過する上昇気流の行方を視線で追いかけ、後方でラフィノスが再び大きく旋回を開始するのを確認する。
体長5メートル。尻尾をいれると10メートルほどの大きさか。ゆっくり遠ざかるラフィノスはこのまま右手方向に大きく旋回して第二撃を私に加えるつもりだろう。
上空超長距離からの加速と重力の加わる最初の突進こそ避けざるを得なかった。それはもう目で追うこともできない速度と威力。だがそれを過ぎれば中距離の下方からの突撃だ。初撃と比べて格段にその力は低く遅い。
この時だ。この時を待っていた。
早くこい。
[付与:氷結]
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