#04. 運命

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 彼女が泣いていることに、佐藤は、気づいていない。それだけ、愛着のある話なのだろう。 「……んで、改めて、埼玉で掲示板一個作ってみたんだけど、いまいちそっちは盛り上がらなくって。それきり、……最後だったな。連絡を取らなくなった。  だから、あの子、どうしているのかな、っておれは思う。――やらかしたおれだからこそ、慎重にならなきゃなと、反省したよ。あのとき、完全に、ネットに依存していたし、彼女も、周囲の人間も傷つけてしまった。  ……だから、スマホが流行って、みんなスマホ依存になっても、……おれは依存しない、……って決めてるんだ」  そこで佐藤がようやく顎を引く。彼女の表情に気づいた。まさか、とその瞳が光る。「……え、もしかして……まさか。きみは……」 「『kakeru』さんですよね。お久しぶりです。わたし、……『mojiko』です」  言って彼女は佐藤に微笑みかけていた。  *
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